最近、脱炭素経営への注目が高まる中で「PPA」という言葉を目にする機会が増えていると思います。
そこで、今回はPPAについて初めて学ぶ方向けに、PPAの基本的な仕組みや種類、導入メリットを詳しく解説していきます。
こんな方はぜひこちらの記事をご覧ください。
・企業の環境担当者
・PPAを導入している企業で働く皆さん
・PPAについて関心のある方
以下の動画でも詳しく見ることができます。
PPAとは?仕組みをわかりやすく解説
PPA(Power Purchase Agreement)の基本概念
- PPAとは?
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「Power Purchase Agreement(電力購入契約)」の略で、電力を発電する事業者と、その電力を使いたい企業・団体などが結ぶ契約形態のことです。主に太陽光発電を対象とし、「設備を所有せず、発電された電力だけを購入する」というスタイルが特徴です。
発電事業者と企業の電力契約モデル
PPAでは、発電事業者が企業の施設(例:工場、倉庫、店舗など)に太陽光パネルを設置し、その電力を企業が購入します。
企業は発電設備の初期費用やメンテナンスコストを負担せず、使った分の電気料金のみを支払う仕組みです。
なぜ今、PPAが注目されているのか?
脱炭素経営やカーボンニュートラルに向けた取り組みが加速する中、PPAは初期費用ゼロで、「環境への配慮」と「コスト削減」を同時に実現できる有力な手段として、多くの企業から注目を集めています。

PPAとコーポレートPPAの違い
コーポレートPPAの定義と特徴についてです。
- コーポレートPPAとは?
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「コーポレートPPA」とは、法人(企業・自治体など)を対象としたPPA契約のことです。PPAという広い枠組みの中で、法人向けに特化した契約形態を指します。
法人がPPAを導入する背景には、以下のような目的があります:
・脱炭素経営(カーボンニュートラル)対応
・取引先や株主へのESGアピール
・電力コストの安定化
・SDGsへの貢献
PPAは「すべての電力販売契約」を意味する包括的な概念ですが、コーポレートPPAはその中でも「企業による長期的な再エネ導入」にフォーカスした特定のモデルです。
コーポレートPPAの種類|オンサイトPPAとオフサイトPPA
このコーポレートPPAには大きく2つの種類があります。それが、オンサイトPPAとオフサイトPPAです。
オンサイトPPAとは?自社敷地内での発電活用
- オンサイトPPAとは?
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オンサイトPPAは、企業の建物や敷地内に太陽光発電設備を設置し、その場で発電された電力を自社で使用するモデルです。自家消費型で、非常用電源としての活用やBCP対策としても有効です。
オフサイトPPAとは?遠隔地から電力供給
- オフサイトPPAとは?
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オフサイトPPAは、自社の敷地外に設置された太陽光発電設備で発電された電力を、送電網を介して購入するモデルです。設置場所の制限がないため、より大規模な再エネ導入が可能です。
しかし、電力を送電する際には一般の送配電網を利用するため、託送料金が発生することは覚えておきましょう。
2つのPPAの違いと使い分け
比較項目 | オンサイトPPA | オフサイトPPA |
---|---|---|
設備設置場所 | 自社敷地内 | 発電事業者の外部施設 |
電力の使用形態 | 自家消費型 | 送電網経由で使用 |
BCP対応 | ◎(非常用電源として利用可能) | △(非常用には不向き) |
対象企業 | 中小企業、店舗など | 大規模施設、エリア展開企業 |
PPAのメリット|コスト・電力・企業価値
PPAのメリットは下記のようなものがあります。
初期投資ゼロで導入できる仕組み
PPAの最大の魅力は、設備投資の初期費用がかからない点です。発電事業者が太陽光パネルの設置から運用・保守まですべてを担うため、企業側はキャッシュフローを圧迫せずに導入できます。
電気代の削減と価格変動リスクの回避
近年のエネルギー価格高騰により、企業の電力コスト負担が深刻化しています。PPAなら、再エネを直接利用することで、価格変動の影響を受けにくく、安定的なコスト管理が可能です。
企業価値やESG対応の強化につながる
再生可能エネルギーの導入は、ESG投資・グリーン調達の観点でも高く評価されます。PPAの活用により、企業の環境姿勢をアピールし、持続可能性に強い企業イメージを構築できます。
PPAのデメリットと注意点
PPAのデメリットと注意点は下記のようなものがあります。
長期契約が前提となる仕組み
PPA契約は一般的に10~25年という長期スパンが前提です。発電事業者が初期投資を回収するために必要な期間であり、中途解約には違約金が発生するケースもあります。
設置スペースや発電条件による制約
オンサイト型では設置場所に日照や面積の条件が必要で、場合によっては導入を断られる可能性もあります。発電効率や安全性も要件となるため、事前調査が重要です。
複数の事業者に相談して比較検討を
PPAには様々な事業者・契約形態があります。比較検討することで、最適な条件で導入できる可能性が高まるため、1社だけで判断せず複数社に相談するのが賢明です。
PPA以外の太陽光発電導入方法と比較

自己所有との違い|資産性と初期費用
自己所有は自社で設備を購入・保有する形態です。自由度は高いものの、初期投資やメンテナンスコストは全て自社負担となるため、資金体力が必要です。
リース契約との違い|契約形態と責任範囲
リースは設備を借りて使う契約で、月々のリース料には保守費用も含まれています。所有はしませんが、運用はある程度自社管理となります。
車で例えると?PPA・リース・自己所有のイメージ比較
- 自己所有
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車を購入して自分で管理(コスト高・自由度高)
- リース
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車を長期レンタルして使う(中間コスト・中間自由)
- PPA
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タクシーを利用するように使った分だけ支払う(手間最小・初期費用ゼロ)
PPAの導入事例|イオンモール・マクドナルド
近年では中小企業向けの小規模PPAや、地方企業と地元発電事業者との連携も進んでいます。
補助金や助成金を活用した導入も可能なため、コスト負担がネックの企業にも選択肢が広がっています。
イオンモール|オンサイトPPAで駐車場を再エネ化
イオンモールでは屋外駐車場にソーラーカーポートを導入するオンサイトPPAを進行しております。
雨天時の雨避けになるなど駐車場の利便性向上と再エネの導入を両立しています。2025年までに合計50店舗以上の導入を予定しています。
マクドナルド|オフサイトPPAでCO₂排出量ゼロへ
マクドナルドは国内外食業界で最大規模のオフサイト型PPAを導入しております。
2025年時点で関東・関西合わせての合計206店舗で、電力使用におけるCO₂排出量を実質ゼロにしています。
これらの取り組みにより、温室効果ガス排出量を前年対比で5.2%も削減することに成功しております。
まとめ|PPAを導入する前に確認すべきポイント
PPAを導入する前に、改めて下記のポイントを確認するようにしましょう。
自社に適した導入方法の見極め方
PPA、自己所有、リースの3つの方式にはそれぞれの特徴があります。自社の資金計画、スペース、目的に応じて最適な導入方法を検討しましょう。
費用面と契約年数のバランス
初期費用がかからない代わりに、長期契約が前提となるPPA。将来的な建て替えや移転のリスクも踏まえて判断することが重要です。
持続可能な経営戦略としてのPPA活用
PPAはコスト削減だけでなく、企業の持続可能性やブランド価値の向上にも貢献します。長期的な視点で、経営戦略の一環としての活用をおすすめします。
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