そのサステナビリティ浸透策、逆効果かも?企業が陥るNG施策3選と改善のヒント

サステナビリティ経営を推進する上で、壁として立ちはだかるのが「社内浸透」です。

これまで200社以上の現場を支援してきた経験から言えるのは、社内浸透に悩む企業の多くが共通して「間違ったアプローチ」に陥っているという事実です。うまくいかない原因が明確であれば、組織を動かすための確実な改善策も見えてきます。

本記事は、多くの企業がやりがちな施策がなぜ失敗するのか、その理由と具体的な改善案について詳しく解説していきます。

以下の動画でも詳しく見ることができます。

目次

なぜサステナビリティの社内浸透はうまくいかないのか?

サステナビリティ経営に取り組む企業が増える中、「なぜ社員に浸透しないのか?」という悩みは多くの現場で存在しています。

多くの担当者が「社員に自分ごととして捉えてほしい」と願っていますが、この“自分ごと”というゴールはかなり曖昧でハードルが高い目標です。

多くの従業員は「サステナビリティは大事であることは理解しているが、自分の業務とは程遠いもの」と捉えています。しかし、何らかのきっかけで「自分の仕事と地続きである」と実感できたとき、初めて自発的な行動やアイデアが生まれます。

そこで、重要なのは「自分ごと」を段階的に進める設計です。

まず「学ぶ」、次に「気づく」、そして「行動する」。

この3ステップを意識しながら何度も回すことで、意識は徐々に深まっていくものです。逆に、これを意識せずにいきなり社内浸透を開始すると、逆効果になりかねません。

ここからは、多くの企業が陥りやすい「浸透施策が失敗に終わる理由」とその対策について解説します。自社のこれまでの施策を振り返り、「知らず知らずのうちに実施していないか」をぜひチェックしてみてください。

失敗する社内浸透施策① eラーニング

社内浸透を目的として、まずeラーニングを導入する企業は非常に多いです。時間や場所を選ばず受講でき、全社員に均一な教育を提供できる点は、確かに大きなメリットといえます。

しかし、よくある問題は「知識は得たが、行動が変わらない」という点です。

eラーニングが浸透しにくい最大の理由は、得られる知識が「表面的な情報のインプット」に留まり、本質的な理解まで届かないことにあります。

たとえば、「ESGとは何か」といった一般論は学べても、自社の業務とどう関係があるのかを実感できなければ行動変容は起きません。汎用的な教材によるeラーニングは、総論をカバーするには適していますが、社員の行動変容を促す各論にまで到達するのは困難です。

本当に自分ごとを促すには、自社独自の戦略(マテリアリティ・KPI)やストーリーを反映した教材が不可欠です。社員に何を理解してほしいのか、その深さに合わせて適切な学習方法とクオリティを選択することが、形だけの教育で終わらせないための重要なポイントです。

「何を理解してほしいのか」により学習の深さと方法は変わる

失敗する社内浸透施策② 経営層研修

サステナビリティ担当者の悩みとして、常に上位に挙がるのが「経営層が本気になってくれない」という問題です。この状況を打破しようと、著名な大学教授や大手コンサルタントを招いた講演会を開催する企業は少なくありません。

しかし、多くの場合は一時的な盛り上がりで終わってしまい、日々の意思決定にまで影響が及ばないケースもあります。外からの刺激は熱が高まりやすいですが、簡単にも冷めてしまいます。

ある上場企業では、コンサルタントからレポートの内容を厳しく指摘され、その場では全員が神妙に耳を傾けていたものの、翌年のレポートには一切改善が見られなかったといいます。これは、研修を通して「なぜ自分たちがやるべきか」という本質的な意味を、腹落ちするまで理解できていなかったためです。

経営層の意識を変えるには、焚き火に薪をくべ続けるように、内側から「やりたい」という想いが湧き出る内発的動機づけへのアプローチが不可欠です。

熱は「つける」だけでなく、「燃やし続ける」設計が必要


経営層は、すでに多くの情報に触れており、最低限の知識は備えています。そこに新たな知識を上乗せしようとしても、大きな変化は期待できません。むしろ効果的なのは、既存の知識や経験と自社の現状を結びつけ、「これは自社にとって不可欠なチャンスだ」という気づきを促すことです。

そのため経営層研修においては、日々の喧騒から離れ、ステークホルダーの声や自社の存在意義に向き合う中で、本人たちが「腹落ち」する瞬間を設計すること重要です。こうした「気づき」に焦点を当てたアプローチこそが、一過性のブームに終わらせず、経営層の心にサステナビリティの火を灯し続ける方法の1つです。

失敗する社内浸透施策③ 管理職向け研修

社内浸透がある程度進んでくると、「管理職をいかに巻き込むか」という課題が浮上します。多くの企業では管理職を対象に、戦略の全体像を説明した上で「自部署でのアクションプラン」を策定させるアウトプット型の研修を実施します。

研修の場こそ活発な議論が行われ、手応えを感じる担当者も多いでしょう。しかし、そのプランが現場に戻った後に実行されているケースは極めて稀です。

なぜ、これほどまでに「やりっぱなし」が起きてしまうのでしょうか。

その根本要因は、サステナビリティの取り組みが人事評価に反映されないことにあります。管理職の最優先ミッションは、チームのマネジメントを通じた売上目標やKPIの達成です。日々の業務に追われる中で、評価やボーナスに直結しない活動の優先順位が下がってしまうのは、ある種当然です。

さらに深刻なのが管理職の孤立化です。本人が推進に意欲的であっても、上長や部下が非協力的であれば、管理職は上下に挟まれた状態で立ち往生してしまいます。戦略と現場を繋ぐハブであるはずの管理職が機能不全に陥ると、どんなに立派な戦略も現場には届きません。

管理職を真の牽引役に変えるには、彼らを孤立させないための仕組みが必要です。

ここで重要になるのが、「学ぶ→気づく→行動する」というフローにおける「行動」に付随するプロセスです。単にプランを作るだけでなく、学んだことを周囲に伝えるというアクションをプロセスに組み込んでいきます。

例えば、弊社では管理職向けワークショップ後に「担当役員との面談」を宿題として設けました。これにより、役員との連携を深めることができ、社内に気づきの連鎖を生み出すことができます。

こうした対話の機会は、聞く側の役員や部下にとっても、新たな学びや気づきを得る契機となります。双方向のコミュニケーションを通じて、サステナビリティが組織の優先順位から脱落するのを防ぎ、全体の熱量を中長期的に維持することが可能になるのです。

手段を「目的化」させないために意識すること

eラーニングや研修そのものが悪いわけではありません。問題は、「実施すること」が目的化してしまっているケースです。

たとえば「eラーニングの受講率100%」を目標に掲げることも大切ですが、もっと重要なのは「その先にどのような行動変化を起こしたいのか」を明確にすることです。

社内浸透を形骸化させないためには、「何のためにこの施策を行うのか」を自分たちの言葉で具体的に言語化する必要があります。

「自分ごと化」といった抽象的な言葉で満足せず、より解像度を高めて定義し直してみましょう。

下記は目的の具体例です。

・経営層がサステナビリティの意義を理解し、その思いを社内外にメッセージとして発信する
・管理職が推進者として自ら動き、チームを巻き込む状態をつくる

このように目的を明確に定めることこそが、社内浸透を成功させるための何よりも重要な第一歩となります。

今まさに進めている、あるいは計画中の施策の「目的」は、誰にでも伝わる具体的な言葉になっているでしょうか。まずは、曖昧な表現を排し、本質的なゴールを再定義することから始めてみてください。

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