コンサル業界の倒産が増加中。コンサル経営者が考える生き残るための3つの条件

コンサルティング業界で、倒産や休廃業が過去最多ペースで増えていることが報道されました。

企業の経営課題を解決するはずのコンサル会社が、自社の経営に行き詰まっている。これは一見すると、少し皮肉な状況にも見えます。

ほな社長

今回、サステナビリティとは直接関係のないテーマを取り上げるのは、私自身も小さなコンサルティングファームを経営しており、この変化を決して他人事とは思えないからです。コンサル業界の一員として、今まさに起きている変化と向き合いながら、その意味を考えてみたいと思います。

本記事では、帝国データバンクが公表した「経営コンサルティング業者の倒産・休廃業解散動向」をもとに、コンサルティング業界で何が起きているのかを整理するとともに、AI時代に小規模なコンサルティング会社が生き残るために必要な視点について考察します。

本記事の内容はYouTube動画でもご覧いただけます。

目次

なぜ倒産が増えているのか

まず押さえておきたいのは、コンサル業界全体の市場が縮小しているわけではないという点です。

帝国データバンクのレポートでは、コンサル業界の市場規模は2023年度に4兆円を突破し、2026年時点では4.6兆円、従事者も17.4万人とされています。市場そのものは大きく、一定の需要も存在しています。

引用:経営コンサルティング業者の倒産・休廃業解散動向丨帝国データバンク

にもかかわらず、倒産や休廃業は増えています。

この背景には、業界全体が「特需の時代」から「選別の時代」へ移っていることがあります。

コロナ禍では、テレワーク導入やDX推進など、急いで対応しなければならないテーマが多くありました。その時期には、「まずはIT化を進めたい」「制度対応を手伝ってほしい」といった需要が一気に広がり、多くのコンサル会社に追い風が吹いていました。

しかし、そうした特需は一巡しています。

現在の顧客ニーズは、M&A、リスクマネジメント、組織変革、事業戦略の見直しなど、より高度で複雑な経営課題へ移っています。単発の知識提供や作業代行だけでは、顧客の期待に応えにくくなっているのです。

つまり、市場があるにもかかわらず、そこに求められる能力の水準が上がっている。これが、コンサル業界で淘汰が進んでいる大きな理由です。

コンサル会社が淘汰される3つの理由

では、具体的にどのような会社が厳しい状況に置かれているのでしょうか。ここでは、大きく3つの理由に分けて整理します。

1. ビジネスモデルが一時的な需要に依存している

1つ目は、ビジネスモデルの限界です。

たとえば一時期、IT補助金や事業再構築補助金などの申請代行を行うビジネスが増えました。行政向けの申請書類を作成し、採択を支援するという形です。もちろん、制度を理解し、企業にとって必要な支援を提供すること自体には価値があります。

しかし、制度需要に過度に依存していたり、実態として書類作成の代行にとどまっていたりするビジネスモデルでは、補助金制度の見直しや審査の厳格化、あるいは需要の一巡といった環境変化が起きた途端に、事業の継続が難しくなる可能性があります。

コンサルティングは、外から見ると実態が見えにくい仕事です。だからこそ、本当に企業の課題解決につながる支援をしている会社もあれば、単なる代行業に近い会社もあります。

市場が成熟し、顧客の目が厳しくなるほど問われるのは、「何を代行できるか」ではなく、「どのような成果を生み出せるか」です。

本質的な付加価値を提供できる会社ほど選ばれ続け、そうでない会社との違いは、今後ますます明確になっていきます。

2. 1案件への依存度が高い

2つ目は、1案件への依存度の高さです。

小規模なコンサル会社では、特定の大口案件に売上の多くを依存しているケースがあります。一社に深く入り込み、手厚く支援できるという意味では良い面もあります。

しかし、顧客側の予算見直しやプロジェクト中断が起きると、その影響を一気に受けます。

しかも、コンサル業にとって「人」は商品そのものです。売上が落ちたからといって、優秀な人材を簡単に手放せば、今度はサービス品質が落ち、次の仕事を取る力も弱くなってしまいます。

固定費は残る一方で、売上が急に減る。この構造が、小規模事業者の資金繰りを一気に悪化させる要因になります。

特定の大企業一社に依存している下請け企業が、その契約を失った瞬間に経営危機に陥る構図と似ています。

3. 生成AIによって差別化が難しくなっている

3つ目は、差別化の失敗です。

ここには、生成AIの普及が大きく関係しています。以前であれば、基礎的なリサーチ、汎用的な研修コンテンツの作成、きれいな資料作りなどに、コンサルタントが何日もかけて取り組むことがありました。

しかし今は、生成AIを使えば、情報収集や要約、資料のたたき台づくりはかなり短時間でできるようになっています。

その結果、「情報をまとめるだけ」「それらしい書類を作るだけ」の価値は大きく下がりました。

もちろん、AIを使えば何でも解決できるわけではありません。しかし、顧客側もAIを使えるようになった以上、基礎的な情報整理だけに高い費用を払う理由は弱くなっています。

これからのコンサルタントに求められるのは、情報を集めることそのものではなく、顧客の現場に入り、課題を見極め、意思決定や実行を前に進める力です。

サステナビリティ業界も他人事ではない

この流れは、サステナビリティ業界にとっても他人事ではありません。

サステナビリティやSDGsが大きく注目された時期には、多くの企業が関連サービスを立ち上げました。既存顧客に対して「こういう支援も始めました」と提案し、一定の案件を獲得できた企業もあったはずです。

しかし、サステナビリティは本来、専門性が求められる領域です。片手間で続けられるほど単純ではありません。

一度サービスを立ち上げても、継続案件につながらなかったり、専門性を深められなかったりすれば、事業として続けることは難しくなります。

実際に、弊社がご支援した企業の中にも、サステナビリティに関するコンサルティングサービスを立ち上げたケースがありました。しかし現在では、その多くで積極的な事業展開は見られなくなっています。

また、AIをうまく活用できる企業と、そうでない企業の差も広がっています。単なるリサーチ業務であれば、高い費用を払って外部に依頼するより、自社でAIを活用した方が早く、網羅的に情報を集められる場面も増えています。

だからこそ、サステナビリティ支援においても、「AIで代替できる情報整理」と「人間が関わるからこそ価値が出る支援」を切り分ける必要があります。

AI時代に小さな会社が生き残るための3つの工夫

では、AI時代に小さなコンサル会社や専門サービス業が生き残るには、何を意識すればよいのでしょうか。

ここからは、現役のサステナビリティコンサルタントとして、私自身が実際に意識している3つの工夫を紹介します。

1. 人間臭い仕事を突き詰める

1つ目は、人間臭い仕事を突き詰めることです。

AIを活用した圧倒的なプロダクトを作れる企業であれば、そこに大きなビジネスチャンスがあります。しかし、小さな会社がゼロからプロダクトを作り、他社と同じ土俵で戦うのは簡単ではありません。

では、どこで戦うのか。

重要なのは、人間だからこそできる仕事に集中することです。

たとえばサステナビリティ支援でいえば、方針を作るだけでなく、その考え方を社内に浸透させ、現場の行動を変え、実効性を高める伴走支援です。

どれだけ立派な戦略を作っても、現場の人が動かなければ成果は出ません。人の心に火をつけ、やる気を引き出し、組織を少しずつ動かしていく。この領域は、まだAIだけでは代替しにくい部分です。

小さな会社ほど、こうした人にしか生み出せない価値に経営資源を集中させることが、他社との差別化につながります。

2. 集客の流入を止めない

2つ目は、集客の流入を止めないことです。

特定の顧客や案件に売上を依存していると、経営は不安定になります。これはコンサル業に限らず、多くの専門サービス業に共通する課題です。

そのためには、常に新しい接点を作り続ける必要があります。

私自身も、YouTube発信を2年前から始め、継続することで見込み客情報が積み上がってきました。企画や撮影には時間がかかり、編集には費用もかかります。それでも、集客に必要なところにはコストをかけるという判断をしています。

ここで重要なのは、単に問い合わせ数を増やすことだけではありません。

発信を続けることで、「この人に話してほしい」「この人にお願いしたい」という指名が生まれることです。

指名される仕事は、AIに代替されにくい競争優位になります。AIが情報を整理できる時代だからこそ、誰が語るのか、誰に伴走してほしいのかという信頼の価値が高まっていきます。

なお、AIエージェントなどを活用すれば、原稿作成、企画考案、SNS投稿など、マーケティング活動の一部も効率化できます。人間がやるべき発信の核を残しながら、周辺業務をAIで効率化することも重要です。

ちなみに今お読みいただいているこのコラムも、制作工程の約8割をAIエージェントが担っています。私自身が行っているのは、内容の最終確認と、読者に本当に伝えたいメッセージがぶれていないかを確認することです。

3. 餅は餅屋と割り切る

3つ目は、餅は餅屋と割り切ることです。

小さな会社の経営者は、何でも自分でやろうとしてしまいがちです。しかし、すべてを自分で抱えるほど、本当に時間を使うべき専門領域に集中できなくなります。

ウェブマーケティングの戦略立案、リードへのナーチャリング、プロジェクトマネジメント、デザイン制作など、自分より得意な人がいる領域は、外部のプロに任せる。

もちろん、外部に依頼すれば費用はかかります。

しかし、その分、自分自身は自分にしかできない専門性を深める時間を得られます。顧客の現場に入り、一次情報を集め、ネットやAIだけでは取得できない知見を蓄積することができます。

この一次情報こそが、顧客に提供できる付加価値の源泉になります。

AI時代には、何でも自分でこなす器用さよりも、自分が本当に価値を出せる領域を見極め、そこに集中する判断が求められます。

まとめ

コンサル業界で倒産・休廃業が増えている背景には、市場縮小ではなく、顧客ニーズの高度化とAIによる業務代替があります。

制度に依存したビジネス、特定案件に依存した経営、専門性のない代行業は、今後さらに厳しくなっていく可能性があります。

一方で、人間だからこそできる泥臭い支援に集中し、集客を止めず、外部パートナーと協力しながら自分の専門性を磨くことで、小さな会社でも十分に戦う余地はあります。

AIが普及するほど、「何を知っているか」だけでは差別化しにくくなります。これから重要になるのは、現場を動かせること、信頼されて指名されること、そして一次情報に基づいた付加価値を提供できることです。

コンサル業界の変化は、あらゆるビジネスにとっての先行事例でもあります。自社のサービスは、AI時代に何で選ばれるのか。今こそ、その問いに向き合うタイミングです。

また「サステナビリティについてさらに理解を深めたい」「実践的な取り組みや企業事例を知りたい」と感じた方には、弊社がご用意している13種類のお役立ち資料をおすすめします。サステナビリティ経営に必要な基礎から実務まで、体系的に学べる内容となっていますので、ぜひご活用ください。

また、現在60分の無料相談も受け付けております。専門家の視点から具体的なアドバイスを受けたい方は、お気軽にお問い合わせください。

目次