【2030年以降の新目標】SWGsとは?SDGsとの違いや具体的な施策例をご紹介!

SDGsという言葉を知らない人はいまや少ないですが、SDGsの達成期限である2030年まで、残りはわずかです。

世界では次の新たな目標がどうなるのか、少しずつ話題となっています。

その中でポストSDGsとして注目されているキーワードがSWGsです。

本記事をご覧いただければ、SDGsの現状と今後、そしてこれからの時代に求められるウェルビーイングとは何かが理解できます。

本記事の内容はYouTube動画でもご覧いただけます。

目次

SDGsの現

本題に入る前に、まずは現在のSDGsがどういう状況かを簡潔に整理します。多くの方が、SDGsの17色のカラフルなロゴを見たことがあるはずです。

これは2015年に国連で定められた2030年までにより良い世界を実現するための17の目標です。貧困をなくそう・安全な水とトイレを世界中に・働きがいも経済成長もなどが該当します。

日本では2019年頃から一気に浸透し、多くの企業が「当社もSDGsに取り組む」と表明して活動を進めました。これは望ましい流れであり、持続可能な社会づくりに向けた大きな動きになりました。

しかし、ここで重要な事実があります。

SDGsの達成期限である2030年まで残り年数が少ない一方で、進捗は十分ではありません。国連が公表した報告書ではこのままでは多くの目標の達成が難しいと指摘されています。

多くの主体が努力しているにもかかわらず進捗が鈍い背景には、世界各地での紛争やパンデミックなど複合的な要因があり、取り組みが想定どおり進まなかったことが挙げられます。このため2030年の次をどうするかという議論が、いま世界で始まろうとしています。

SDGsの続きはあるのか

そもそもSDGsに続きはあるのかという疑問に対しては、続きがあると考えられます。

なぜならば、SDGs自体が2015年に突然生まれたものではないためです。実は、SDGsには先行する枠組みがあり、それがMDGs(Millennium Development Goals、ミレニアム開発目標)です。MDGsは2001年から2015年を期限とした目標で、主に発展途上国の貧困や教育の課題解決を目的とする内容でした。

ただし、MDGsには大きな反省点がありました。主に途上国の課題であり、先進国には関係が薄いと捉えられた点です。この前提では地球全体の課題解決は困難です。その反省から次は先進国も途上国も含め、地球に住む全員が当事者となる目標をとして策定されたのがSDGsです。このため、経済成長に関する目標なども含まれています。

そして、MDGsがSDGsへと更新されたように、SDGsも2030年で終了ではなく、次の目標へ更新される可能性が高いといえます。その根拠も示されています。2024年9月に国連で未来サミットという会議が開催されました。そこで採択された文書には「2027年のSDGサミットで2030年以降の目標について議論を開始する」と明記されています。

日本もこの動きに遅れていません。政府は有識者を招集し、2030年以降の社会のあり方を検討する会議を立ち上げるなど、国際的議論を主導する準備を進めています。世界はすでに次の段階を見据えて動き出しています。

では、その次の目標はどのようなものになるのでしょうか。

SWGsとは

ポストSDGs、すなわちSDGsの次に位置づけられる目標として、SWGsになると言われています。現時点では決定ではないため、あくまで有力説としての位置づけです。

SWGsとは?

SWGsは、Sustainable Well-being Goalsの略であり、日本語では「持続可能なウェルビーイング目標」と表現します。その目的は、「社会全体で持続的によりよい状態を実現していくこと」を目指す方向へと収れんしていくと見込まれています。

ここで、キーワードとなるウェルビーイングの定義を整理します。ウェルビーイングは英語のwell(よい)とbeing(状態)を組み合わせた語です。

WHO(世界保健機関)の説明は抽象度が高い表現ですが、要点は次のとおりです。

“身体的、精神的、社会的に、すべてが満たされたよい状態”であること。

なお、ウェルビーイングは唯一の正解を定めにくい概念であり、解釈には幅があります。なぜなら「よい状態」は個人や状況によって異なるためです。

家族や友人と食事を楽しむ時間に幸福感を覚える人もいれば、一人で静かに読書に没頭する時間を最良と感じる人もいます。仕事の文脈でいえば、大規模プロジェクトを完遂した瞬間に強い達成感を得るケースもあるでしょう。

このように、何を「よい」と捉えるかは個々の価値観や状況によって大きく異なります。だからこそ、一人ひとりが感じる「よりよい状態」を尊重する姿勢が、ウェルビーイングの本質と言えます。

またウェルビーイングへの注目が高まった背景には、SDGsの広がりがあります。SDGsの17の目標には「ウェルビーイング」という言葉自体は含まれていませんが、採択時の国連宣言には「身体的・精神的・社会的にウェルビーイングな社会」を目指す旨が明確に記されています。

つまり、SDGsが目指す持続可能な社会の到達点として、ウェルビーイングの実現が据えられているということです。

ウェルビーイングが注目される理由

ここからは、なぜウェルビーイングが注目されているのか、その理由を深堀りします。

結論からいえば、社会全体が豊かさの尺度を転換しようとしているためです。

歴史を振り返ると、これまで豊かさの基準は「経済的価値」が中心でした。国の成長を測る最も代表的な尺度はGDP(国内総生産)であり、より多く生産し、より多く販売することが価値を生むという考え方が長く重視されてきました。

しかし、GDPが上昇しても、人々の幸福度が自動的に高まるとは限りません。たとえば日本は、依然として世界第4位のGDP規模を誇りますが、2024年の世界幸福度ランキングでは51位にとどまっています。

このことから、物質的な豊かさと主観的な幸福の間に乖離があることが示唆されます。

こうした認識の広がりが、SDGsへの注目を後押ししました。SDGsは「将来世代のニーズを損なわず、現世代のニーズを満たす」という価値観を基軸にしています。その一方で、SDGsの多くの目標は、現状の「マイナスをゼロに戻す」ことに焦点を当てています。

気候変動を例にとると、パリ協定は産業革命前からの気温上昇を1.5度以内に抑えることを掲げています。これは、現状のまま進めば2〜5度の上昇が見込まれる中で、最悪の事態を回避するための目標とも言えます。貧困、飢餓、不平等などの課題も同様に、マイナスの状態を解消し、ゼロに近づけることに重きが置かれています。

一方で、マイナスをゼロに戻した後に何を目指すのか。この「次の段階」が新たな論点として浮上し、そこで鍵となるのがウェルビーイングです。ポストSDGsとして注目されるSWGsは、これまでの「マイナスをゼロに戻す段階」から、「ゼロをプラスに引き上げる段階」へと価値基準の転換を目指すものと捉えられます。

さらにウェルビーイングは、人間だけを対象とした概念ではありません。動物、植物、さらには地球そのものの状態まで含め、あらゆる対象にとっての「よりよい状態」を目指すという視点が不可欠になります。

すべての存在にとってのウェルビーイングを追求する社会へ。これこそが、ポストSDGsが示す未来像と言えるでしょう。

ウェルビーイングに向けた具体的な取り組み

ウェルビーイングな社会を実現するため、政府・企業・自治体・教育機関など、社会のあらゆる領域で取り組みが始まっています。ここでは、その代表的な動きを整理します。

政府:政策にウェルビーイング指標を組み込む動き

日本政府は2021年に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」において、政策評価にウェルビーイング指標(KPI)を導入する方針を示しました。政策の成果を、経済的指標だけでなく「国民の生活の質向上」によって測ろうとする試みです。

2024年度調査では、生活満足度が男女ともに上昇し、過去5年間で最も高い結果となりました。少しずつではあるものの、生活に対する肯定感が高まっていることが読み取れます。

企業:従業員のウェルビーイングを経営の中心に

企業においても、ウェルビーイングの重要性は急速に高まっています。

背景には、従業員が心身ともに健康で、働きがいをもって働ける環境を整えることが、生産性向上や企業価値の向上につながるという認識が広まっている点があります。

代表的な取り組みとしては、

・働き方の柔軟化:テレワーク、フレックスタイムの拡充
・オフィス環境の改善:リラックススペースの設置、フリーアドレス化
・賃上げ・福利厚生の強化:経済的基盤の安定を支援

などが挙げられます。

人材サービス大手のパーソルでは、派遣スタッフ一人ひとりのウェルビーイングを数値化し、その変化をもとに働き方を改善する取り組みも始まっています。

ウェルビーイングは単なる優しさではなく、企業の競争力向上に資する経営施策として捉えられつつあります。

自治体:地域単位でのウェルビーイング指標の活用

自治体レベルでも興味深い動きが見られます。

富山県は、県の成長戦略の中心にウェルビーイングを据え、県民の状態を独自のアンケートで可視化しています。

「心身の健康」「経済的ゆとり」「家族や友人とのつながり」など、多面的な指標を用いて県民がどれだけウェルビーイングを実感できているかを測定し、それを政策に反映する取り組みが進められています。

 教育機関:ウェルビーイングを専門に学ぶ時代へ

大学でもウェルビーイングを重視する動きが加速しています。

神戸大学には「ウェルビーイング推進本部」が設置され、武蔵野大学では2024年度より「ウェルビーイング学部」が新設されました。これから社会に出ていく学生が、ウェルビーイングを専門的に学び、研究し、社会実装に携わっていく流れが生まれつつあります。

このように、政府・企業・自治体・大学いった多様な主体がウェルビーイングを軸にした取り組みを進め始めています。ウェルビーイングは「誰かが良い感じに過ごせる」だけの話ではなく、社会全体の価値基準を転換し、持続可能で幸福度の高い社会へ移行するためのキーコンセプトとなりつつあります。

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本記事ではポストSDGsをテーマに、SWGsとウェルビーイングについて解説しました。

これからの時代は、経済的豊かさの追求にとどまらず、一人ひとりが自分らしい「よりよい状態」を実現できる社会へと移行していく可能性があります。すなわち、ウェルビーイングの追求が重要性を増すと考えます。

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