なぜサステナビリティの社内浸透は失敗するのか？
多くの企業がサステナビリティに関する社内研修を実施しているにも関わらず、思うような行動変容が見られない…。こうした課題には共通点があります。
それは「社内浸透の目的があいまいになっている」こと。
例えば、スライドをきれいに作ることや、研修を開催すること自体が目的化してしまい、「なぜ社内浸透が必要なのか？」「行動に結びついているか？」という視点が抜けてしまっているのです。
以下の動画で詳しく見ることもできます。
社内浸透の全体像と4つのステップ
サステナビリティの社内浸透を成功させるには、感覚ではなく「戦略」が必要です。そのベースとなるのが以下の4ステップです。
サステナビリティの重要性を大まかに理解している状態です。ただし、ここではサステナビリティの大きな概念に留まるため、自社に関係するテーマであると直接的には感じにくい状態です。
自社が注力すべき課題（通称：マテリアリティ）やKGI・KPIについて学ぶことで、自社が進みたい中長期的な方向性を理解することができます。
サステナビリティ方針と自分との間に繋がりを実感してもらいます。そのため、業務とのつながりを従業員により理解してもらえる施策を打っていきます。
従業員がアイデアを出しやすいような仕組みづくりをしていきます。
単なる知識伝達では社員の行動は変わりません。
重要なのは「自分ごと化」させることです。
従業員が「自分の業務と方針がつながっている」と感じて初めて、ボトムアップの行動が生まれます。
レイヤー別分析で優先順位を明確にする
社内浸透には「どのステップを」「どの層に」届けるかという視点も不可欠です。
そのために有効なのが、
・横軸：浸透ステップ（1〜4）
・縦軸：組織のレイヤー（経営層、サステナ担当者、管理職、従業員）
このマトリクスで分析することで、「どの層に」「どのレベルの浸透が不足しているか」を可視化できます。
特に経営層が理解していない状況では、いくら現場が頑張っても施策は形骸化しがちです。
だからこそ、影響力の大きい経営層から着手することが重要です。
社内浸透施策の正しい考え方｜手段ではなく目的から逆算せよ
「とりあえず有名講師を講演会に招こう」「カードゲームをやってみよう」
これらの施策がうまくいかないのは、手段が目的化しているからです。
社内浸透の施策は、「レイヤー × 予算 × 目的 ＝ 施策」の3要素を整理することで、効果的な施策が見えてきます。
例えば：
・レイヤー：全従業員
・予算：50万円
・目的：サステナビリティの基礎知識を届けたい
この場合、eラーニングが効果的です。
一方、目的が「同業界内の動向を知る」であれば、カスタマイズされた勉強会の方が適しています。
よくある3つの悩みとその乗り越え方
悩み①：経営層が前向きではない
経営層の意識改革は最大の難関です。
講演を聞くだけでは自分ごとにならない場合も多くあります。
そこで有効なのが「対話重視のワークショップ設計」。自ら意見を出す時間を設けることで、主体的な参加と意識変容を促せます。
さらに、このワークショップを一過性のもので終わらせないためにもう1つの仕掛けをし、大きな効果を発揮しました。
その仕掛けについて知りたい方はぜひ個別無料相談にお申し込みください！
悩み②：方針説明会がうまく伝わらない
ありがちな失敗は、「何を」伝えるかに偏り、「なぜ」伝えるかが抜けているケースです。
ゴールデンサークル理論に基づき、「Why→How→What」の順で伝えることが共感を生みます。
さらに、今の時代は動画活用も効果的。情報伝達量が多く、時間が限られた中でも、記憶に残る伝え方が可能です。
悩み③：業務とのつながりが見えない
従業員が「自分の業務とサステナビリティがどう関係するのか」を理解できていない場合、行動にはつながりません。
この壁を乗り越えるには、「社会課題→顧客課題→業務」の流れで接続点を見せることです。
そのためには、社会課題と顧客課題の違いを理解することが重要です。
社会課題とは、解決のためにコストを払う人がいない課題。顧客課題とは、解決のためにコストを支払うことのできる人々の持つ課題と定義できます。
例えば、地球温暖化による原材料高騰 → 顧客のニーズ変化 → 自社の新しい製品設計、というストーリーを共有することで理解が進みます。
年間スケジュールを組んで社内浸透を「接触回数」で設計する
社内浸透は、単発の施策では定着しません。
マーケティング理論にもある「セブンヒッツ理論」に基づき、7回以上の接触機会を設けることが重要です。
そのためには、「年度初めに浸透スケジュールを立てる」ことがカギです。
以下の例のように、クォーター毎のスケジュールを立てましょう。
・1Q：基礎研修
・2Q：方針理解のワーク
・3Q：業務との接点整理
・4Q：アクション共有会
このように「意識的に」接触を設計することが、社内にサステナビリティ文化を根づかせる近道です。
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効果測定のポイントは「行動変容」×「組織文化の変化」
浸透施策の成果を定量的に示すことも求められます。
ただし、よくあるアンケートで「自分が関心のあるSDGsの番号を選ばせる」などでは、具体的な施策改善にはつながりません。
重要なのは、「寄与度が高まっているか（≒行動変容）」「チャレンジを許容する風土が育っているか（≒文化）」を問う質問設計です。
例えば、
・「サステナビリティを意識した行動を週に何回実践したか？」
・「自部門内で、方針に基づく提案をする風土があるか？」
数字だけでは見えない変化を捉えることが、真のKPIです。
まとめ｜社内浸透は戦略と仲間づくりがカギ
サステナビリティの社内浸透は、一過性のイベントではなく「戦略的に仕組み化」してこそ成果が出ます。
本日のまとめのポイントは下記です。改めて、振り返ってみましょう。
・社内浸透の全体像とステップを理解する
・レイヤー別に分析し、優先順位を明確化
・手段ではなく「目的」から施策を逆算
・年間スケジュールを組み、接触頻度を確保
・効果測定は“行動”と“文化”に注目
そしてなにより、「1人で背負わない」こと。
社内に仲間を増やし、共に推進することが最も強力なエンジンになります。これらを一人で抱え込む必要はありません。プロの知見を活用することで、遠回りを避けられます。
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