カーボンニュートラル対応の第一歩は、温室効果ガス排出量を「どこから、どれだけ」出しているかを正しく把握することです。その共通言語がスコープ1・2・3です。
本記事では、スコープ1・2・3の定義やそれぞれの違いを体系的に解説するとともに、営業現場で環境知識をどのように活用すべきか、具体的な実践方法についてもご紹介します。
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スコープとは?3つのスコープの意味と違い
企業の温室効果ガス(GHG:Greenhouse Gas)排出量は、国際基準であるGHGプロトコルに従って「スコープ1・2・3」に区分して算定します。
各社が独自の手法で算定を行うとデータの整合性や客観的な比較が困難になります。そこで、国際的な標準規格である「GHGプロトコル」に基づき、排出源を以下の3つのスコープに分類して管理することが世界的なルールとなっています。

スコープ1(直接排出)とは
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 定義 | 事業活動において、自社が直接的に排出した温室効果ガス |
| 例 | 工場ボイラー、厨房のガスコンロ、社用車の燃料燃焼など、自社の敷地内や自社保有の設備・車両から直接発生する温室効果ガス |
| 算定の考え方 | 使用量 × 排出係数 たとえばガソリンは1Lあたり約2.29kg-CO₂e |
| イメージ | ガソリン100L → 約229kg-CO₂e |
このように、スコープ1の算定においては、燃料消費だけでなく、自社の業種や事業内容に応じて発生し得る温室効果ガスの種類(メタンや一酸化二窒素など)を正しく見極めることも重要です。
スコープ2(間接排出)とは
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 定義 | 他社から供給された電気、熱、蒸気を使用することによって、間接的に排出される温室効果ガス |
| ポイント | 日本国内の電源構成は、依然としてその7割以上を火力発電が占めています。そのため電力を使用することで、間接的に化石燃料が使用されるためGHGが発生します。 |
| 算定の考え方 | 算定はスコープ1と同様に、 使用量 × 電力会社の排出係数 |
| 再エネプラン | 再生可能エネルギー由来の電力プランを契約している場合、排出係数がゼロとして扱われるケースがあり、スコープ2削減の有力施策になります。 |
スコープ3(その他の間接排出)とは
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 定義 | スコープ1・2を除く、自社の事業活動に関連するサプライチェーン上の他社による排出 |
| 特徴 | 範囲が広く、15カテゴリに細分化(例:カテゴリ1「購入した製品・サービス」、カテゴリ11「販売した製品の使用」など) |
| 業種別の着眼点 | 製造業では、調達側のカテゴリ1や、製品使用段階のカテゴリ11が大きなホットスポットになりやすい傾向 |
| 実務の進め方 | まず排出量の大きいホットスポットを特定し、そこから重点的に算定・管理するのが現実的。全カテゴリを一気に網羅しようとすると運用負荷が肥大化します。 |
まず何から始める?
自社排出量の見える化
ファーストステップは、社内でコントロールしやすく、算定も比較的容易なスコープ1・2の見える化です。
・燃料、電力、熱の使用量データを整備
・排出係数を適用して算定
・主要設備、拠点、工程別に原単位(生産量あたり等)で管理し、削減余地を把握
そのうえで、取引先データが不可欠で難易度の高いスコープ3へ展開していくと、全体最適の筋道が見えやすくなります。
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サプライチェーン連携
大企業では、スコープ3の比率が非常に大きいケースが多く、カテゴリ1(購入した製品・サービス)が主要ホットスポットになることが頻繁にあります。このため、サプライヤーを巻き込んだ削減が不可欠です。
自社がTier2・Tier3であっても、上流からの要請で短期間に対応が必要になることがあります。要請が来てから慌てるのではなく、先手の準備が取引先からの信頼獲得に直結します。
営業での活用法:環境に優しいだけで終わらせない提案
スコープ3への貢献度を定量的に示す
環境配慮型の新商品・新素材を提案する際、顧客のスコープ別に直結する効果を伝えるとより良い提案につながります。
例(BtoB 営業トーク)
抽象的な「エコ」訴求ではなく、スコープ3の削減寄与として数量化して提示することで、購買側の意思決定プロセスに乗りやすくなります。
インターナル・カーボン・プライシング(ICP)を活用する
もし環境価値だけでは意思決定が動かない場合は、ICP(Internal Carbon Pricing:社内炭素価格)を活用し、金額換算で説得力を補強しましょう。
ICPとは、企業が脱炭素を推進するために、独自にCO₂排出量に価格を付けて、投資判断等に活用する仕組みです。多くの日本企業では「1トン1万円」を基準価格として設定しています。
例(試算の枠組み)
・削減量:年間100t-CO₂e
・ICP:1トンあたり1万円
・財務インパクト:100t × 1万円/t = 年間100万円相当
あわせて投資回収の期間まで示すことができれば、環境価値と財務価値の両面で納得感を醸成できます。
まとめ
本記事のまとめです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 定義 | スコープ1=ガスなどの直接排出 スコープ2=電力・熱などの間接排出 スコープ3=その他間接排出 |
| 進め方 | スコープ1・2から取り組み、スコープ3にまで展開する |
| 連携 | 上流・下流の取引先を巻き込む仕掛けが不可欠 |
| 営業活用 | 削減量を数値化し、ICPで財務価値まで落とし込んで提案 |
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