サステナビリティ経営は本当に利益につながる?利益構造とESG戦略の成功事例を解説

「サステナビリティ経営は、どうせコストばかり掛かって利益にならない」そう思っていませんか?

実は現在、環境・社会・ガバナンス(ESG)の視点から経営に取り組むことで、利益を増やしている企業が急増しています。大企業だけでなく、中小企業でも実現できる方法が、すでに存在しているのです。

本記事では、

・サステナビリティ経営が、なぜ利益に直結するのか
・CO₂削減や多様性の取り組みなど、具体的な施策がどう売上やコストに影響するのか
・実際に成果を上げた企業の成功事例

をわかりやすく解説します。

「経営戦略」としてESGを考えたい方、自社でどこから着手すればよいか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

以下の動画でも詳しく見ることができます。

目次

サステナビリティ経営はなぜ利益につながるのか?

まず、今回ご説明する「利益」とは、「経常利益 」を指します。

企業経営では、最終的な資金の余裕を左右する「経常利益」が、最も重要な利益指標とされています。

そして、サステナビリティの取り組みは単なる社会貢献活動ではなく、売上増・コスト削減・リスク回避など、経常利益を増やす経営戦略として活用することができます。

ここからは、環境(E)・社会(S)・ガバナンス(G)の3つの観点から、利益につながる構造を見ていきましょう。

環境(E) | CO₂削減・カーボンニュートラルが利益を生む理由とは?

はじめに環境(Environment)の取り組みが、どのように企業価値につながるのかを見ていきましょう。

炭素税や排出量取引制度の導入によって、CO₂排出を抑えることが企業の利益を守るための重要な要素になりつつあります。さらに、大企業がスコープ3まで管理する動きが広がり、環境対応の有無が取引の受注に影響するケースも増えています。

そのため、中小企業も他人事ではない状況になっております。

また、LED照明やインバーター付きエアコンなどの省エネ設備導入は、初期投資こそ必要ですが、継続的な光熱費削減が可能。

つまり、環境配慮=コスト削減の構造がすでに成り立っています。

実際に、自動車部品メーカーのデンソーは、経済性だけではなく環境性も加味して、2021年に事業ポートフォリオを大幅に転換することを発表しております。

引用:DENSOホームページ(https://www.denso.com/jp/ja/about-us/sustainability

社会(S) | DEI(多様性)推進が商品開発と組織力を高める

次に社会(Social)の観点からは、DEIの推進がどのように企業価値につながるのかを見ていきましょう。

DEIとは?

Diversity(多様性)、Equity(公平性)、Inclusion(包括性)の頭文字を取った言葉で、企業経営において従業員それぞれの個性を最大限に活かすことことでより高い価値を創出することを目指す考え方です。

よって、DEIは組織の活力を高め、商品・サービス開発にも大きな影響を与える経営施策と言えます。

顧客ニーズが多様化する今、従業員の多様性は気づき・発見力の強化に直結し、それが売上や顧客満足度向上に結びつく事例がたくさん出てきています。

ただし、多様化をもたせることが目的化してしまうと逆効果になるため、DEIを“経営戦略”として活かす視点が重要です。

多様性+経済性の両立が重要!DEI導入の際は必ず財務面・非財務面での影響まで十分に考えましょう。

ガバナンス(G) | ガバナンス強化が“倒産リスク”と“信頼喪失”を防ぐ

最後は、ガバナンス(Governance)の観点から見ていきましょう。

ガバナンスとは?

企業の経営を監視・統括する仕組みのこと。コーポレートガバナンスとも呼ばれます。

もしガバナンスが脆弱な状態では、不正・コンプライアンス違反・ハラスメントなどが発生しやすく、企業価値を一瞬で失墜させる危険性があります。

2024年にはコンプライアンス違反による倒産が320件(東京商工リサーチ調査)で過去最多を記録。税務処理や情報管理など、基本的な統制の欠如が背景にあります。

ガバナンスは、大企業だけでなく中小企業にとっても「利益を守る基盤」として重要です。

ハラスメント、SNS、情報セキュリティに関する社内勉強会情報管理体制の整備が、リスク最小化の鍵を握ります。

サステナビリティ経営の成功事例【企業別に解説】

三州製菓|女性登用で商品開発と収益性向上を実現

三州製菓では、顧客の9割が女性であるにも関わらず、女性管理職比率が低かったことに課題意識を持ち、男女平等の昇進制度を整備しました。

この取り組みにより女性視点が商品企画に活かされ、「パスタスナック」というカリカリ食感でお菓子にもおつまみにもなる新商品が誕生。これが主力商品へと成長。

引用:https://shop.sanshu.com/products/pasta-recommend002?srsltid=AfmBOooUNL5jyinteVZSXzEQwICiE22xOoNevP-M9kNOL5V2bgHBQn1I

また、職場満足度の向上により離職率が低下したことで、採用・教育コストも削減。

結果的に、経常利益向上という好循環も生まれました。

引用:https://positive-ryouritsu.mhlw.go.jp/practice/detail?id=117

コストコ|多様な従業員が売上増に貢献する仕組み

米国のコストコは、多様な背景を持つ従業員の採用を戦略的に行っています。

スタッフの多様性を確保することで、地域・文化に合わせた品揃えや売場改善が進み、現場主導で顧客ニーズに応える体制を構築できます。これが顧客体験の向上につながり、売上向上に直結しています。

DEIの取り組みに対し一部の米企業で後退が見られる中、「利益に貢献しているから継続する」という姿勢が、「多様性+経済性」の両立モデルとして注目されています。

引用:https://www.businessinsider.jp/article/299430

サステナビリティ経営を成功させるには「自社に合った戦略」が不可欠

サステナビリティの取り組みを検討する企業において、他社事例の調査から始める企業もいるでしょう。

ですが、他社の取り組みをそのまま真似するだけでは、成果は出づらいです。

成功している企業は、「自社の強み」「業種特性」「顧客像」などを丁寧に分析し、経営資源の配分と優先度を見極めたうえでサステナビリティ戦略を設計しています。

サステナビリティ経営とは、あくまで「経営戦略の一部」。本質は“どう利益につなげるか”であり、それを明確にできているかが勝敗を分けます。

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