「健康経営=コスト」だと思っていませんか?
人生100年時代・少子化による人手不足・働き方改革の進展により、従業員の健康増進は今や「守るべき福利厚生」から「企業価値を高める投資」へと位置づけが変わっています。
本記事では、健康経営とは何か(定義・目的)を出発点に、注目が高まる4つの背景を整理します。
さらに、生産性ロスの可視化に不可欠な指標である「アブセンティーズム」と「プレゼンティーズム」を分かりやすく解説し、東大1項目版を用いた測定と読み解き方まで紹介します。ぜひご覧ください。
こちらの内容はYouTubeでもご覧いただけます。
健康経営とは?「コスト」から「投資」へ
- 健康経営とは?
-
健康経営とは、従業員の健康管理を経営課題として位置づけ、健康の保持増進に向けた取り組みを戦略的に実践することです。
従来の健康診断中心の「法令遵守のためのコスト」から、モチベーション・生産性の向上を通じて「企業の成長に寄与する投資」という発想転換が起きています。
そんな健康経営が昨今注目されている背景についてご紹介します。
健康経営が注目される4つの背景
1)生産年齢人口の減少
日本では少子化が進み、1995年に約8,700万人だった生産年齢人口は、2030年に約6,875万人まで減少見込み。少人数でも成果を出すには、一人ひとりの健康と生産性の最大化が不可欠です。
2)高年齢者雇用安定法の改正
定年延長の流れの中で、高齢従業員が健康に働ける環境整備が急務。年齢特性に配慮した働き方・職場づくりが求められます。
3)ワークライフバランス重視
長時間労働はエンゲージメント低下や健康悪化を招きます。私生活の充実も含めた“持続可能な働き方”の設計が企業課題に。
4)労働生産性の損失
健康リスクの高い人は、生産性が低リスク群より約3倍低下することが指摘されています。損失は一人当たり年約100万円規模。100人いれば約1億円のロスにもなり得ます。
生産性ロスの見える化 | アブセンティーズムとプレゼンティーズムとは
生産性損失の指標は2つあります。
- アブセンティーズムとは
-
不調により遅刻・早退・欠勤・休職など「業務自体ができない」状態。
- プレゼンティーズムとは?
-
出勤はしているが、不調で「パフォーマンスが落ちている」状態。
日本企業の健康関連総コストの推計では、約8割がプレゼンティーズムに起因しています。医療費(15.7%)やアブセンティーズム(4.4%)よりも、日常的な「なんとなくの不調」が最大のコスト要因です。

引用:コラボヘルス(厚生労働省):https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000171483.pdf
測定には、東京大学が開発した「東大1項目版」が有効です。設問は下記1問のみ。
病気やケガがない時の仕事の出来を100%として、過去4週間の自身の仕事を自己評価してください
日本人平均は約84.99%=損失15.1%です。ある企業では81%という結果が判明したため、まず平均85%を目標に改善を進めています。
健康経営で得られる4つのメリット
健康経営によって、下記のような4つのメリットを享受することができます。
- ①労働生産性の向上
-
体調の安定は集中力・判断力・実行力を押し上げ、企業全体のアウトプットが高まります。
- ②離職率の低下
-
不調の改善やメンタルケアにより定着が進み、採用・教育コストも圧縮。
- ③企業イメージの向上
-
働きやすい職場として応募率が向上。サステナビリティ経営の一環として社会的評価も高まります。
- ④認定インセンティブ
-
認定取得によりPR効果が増大。自治体の公共調達・入札での加点、金融機関・保険会社の優遇などの可能性もあります。
もっと具体的な健康経営のメリットを知りたい、他社事例はどんな感じなのか、など気になる方は是非下記から「60分間の無料相談会」にお申込みください。
200社以上のサステナビリティ経営ご支援の中で培ったノウハウにより、貴社に最適な事例やお話をさせて頂きます。是非ご活用ください。
認定制度の基礎 | 健康経営優良法人と健康経営銘柄とは
健康経営優良法人認定制度
経済産業省と日本健康会議が運営。ロゴマークの活用、求人票での訴求、自治体の加点、金融・保険の優遇制度など多面的なメリットがあります。
大規模法人部門と中小規模法人部門があり、2023年時点で大規模2,676社・中小10,002社が認定。上位の「ホワイト500/ブライト500」といった継承制度もあり、より厳格な要件を満たすことでステータスとなります。
健康経営銘柄
経済産業省と東京証券取引所が、上場企業の中から優れた取り組みを選定。2024年度は27業種53社が選ばれました。
従業員の活力向上が長期業績や株価に結びつく可能性から、投資家へのアピールにも有効です(上場企業かつ業種あたり基本1社の狭き門)。
始めやすい健康経営の実践策6選
こちらでは、今からでも始めやすい健康経営の実践策を6つご紹介します。
年1回の実施は労働安全衛生法で義務。未受診者への声がけ・メール・書面案内を徹底し、まず受診率の底上げをしましょう。大規模事業所でも受診率90%未満のケースがあり、最優先の着手テーマです。
喫煙は寿命を10年短縮させると言われ、副流煙も悪影響。喫煙時間帯の設定、喫煙室の整備、禁煙治療のサポート、喫煙率の数値目標化で段階的に改善。
相談窓口の設置や、従業員50人以上で義務のストレスチェックを実効化。セミナーや説明会でセルフケアを促進。
婦人科検診・生理休暇、育児期の時短や勤務形態の柔軟化など、女性特有の健康課題に配慮した制度整備。
心理的安全性が高い職場は疲労が軽減。フリーアドレス、社内ブログ・チャットの活用、昼食会などで関係性を強化。対人関係をストレス要因とする人は約3割に上る調査結果もあります。
ヘルシーな社食・補助制度、スポーツジム料金補助、ウォーキングイベントの開催など、企業が主体的に「続けやすい仕組み」を提供しましょう。
もしも、自社が今後進めていくべき健康経営について迷っている場合は、是非「60分の無料相談会」をご利用ください。
健康経営による効果の検証
帝国データバンク(2024年2月発表)の意識調査では、健康経営と企業成長に相関が確認されています。
売上高年平均増加率は、健康経営優良法人の認定法人が3.5%に対し、非認定法人は2.38%。
また倒産予測値でも、認定法人は0.12%と、非認定法人の0.26%より低い数値が示されています。
健康経営は、組織の強靭化・経営改善を通じて、売上成長や倒産リスク低減に結びつく「経営戦略」です。
まとめ | まず測る、そして小さく始めて継続する
健康経営は、プレゼンティーズムの可視化(東大1項目版など)から始めるのが近道です。
現状を測り、優先度の高いテーマ(健診受診率、喫煙率、メンタル、女性の健康、コミュニケーション、食・運動)を一つずつ前進させていきましょう。
成果が見え始めたら、健康経営優良法人などの認定取得を目標に「仕組み化」していきましょう。取り組みはPR効果や採用競争力の向上にもつながります。
【無料】サステナビリティ経営の特典資料15点をプレゼント
今ならお問い合わせいただいた方限定で、下記の特典資料&個別無料相談を無料配布中!
✅ サステナビリティ経営超入門の電子書籍
✅ サステナビリティアクションリスト120選
✅ CO₂排出量の算定・対策シート
✅ 【製造業向け】設備別の削減対策252選
✅ 個別無料相談(1時間) など
…など、企業のサステナビリティ経営にすぐ使えるツールを無料プレゼント!
コメント