サステナビリティの基礎研修は実施した。社内への情報発信も続けている。それでも、社員からは「自分の仕事で何をすればよいのか分からない」と言われる。このように悩んでいる担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
こうしたとき、まず確かめたいのは「誰が、何を理解し、どこで困っているのか」です。基礎知識はあっても自社の方針を知らない人と、方針は理解していても仕事とのつながりが見えていない人では、必要な働きかけが変わります。
だからこそ、新しい施策を検討する前に、社内浸透の全体像を押さえ、自社の現在地を整理してみてほしいのです。今どこで止まっているのかが分かれば、次に必要な働きかけも考えやすくなります。
この記事では、株式会社波濤が200社、延べ40万人以上への社内浸透支援を通じて培ってきた経験をもとに、社内浸透の4ステップから、現在地の把握、施策選び、年間計画、効果測定までを解説します。「自社は次に何に取り組もうか」と考える手がかりにしていただければと思います。
本記事の内容は、YouTube動画でもご覧いただけます。
サステナビリティ社内浸透の4つのステップ
「社員にサステナビリティを自分ごととして捉えてほしい」。これは社内浸透を担当する誰しもが思うことです。
では、「自分ごとになっている」とは、具体的にどういう状態でしょうか。
おそらく期待しているのは、社員一人ひとりが自分の仕事でできることを考え、行動に移してくれることではないでしょうか。
ただ、研修で知識を身につけても、それだけで「自分も取り組んでみよう」と思えるとは限りません。「なぜ自社が取り組むのか」に納得・共感し、「自分の仕事にもつながっている」と感じることが、行動へのきっかけになります。
社内浸透を進めるには、こうした気持ちや理解の変化を踏まえて、働きかけを考えることが大切です。では、社員が学び、自ら行動を考えるまでには、どのような過程があるのでしょうか。
ここからは、株式会社波濤が社内浸透支援で用いている4つのステップに分けて見ていきましょう。

ステップ1:基礎知識の醸成
サステナビリティの基本的な考え方や重要性を学び、企業が取り組む理由を理解する段階です。
社内でサステナビリティについて考え、話し合うための知識の土台をつくります。用語の説明に加えて、環境や社会の変化が企業活動にどう関係するのかを学びます。
例えば、資源の使い方、働く人への配慮、取引先との関係など、社員が仕事を通じて接しているテーマから紐解いて説明すると、自社の話へ進む足がかりになります。
ここで確認したいのは、専門用語をいくつ覚えたかだけではありません。「なぜ企業が取り組むのか」を、本人なりに理解できているかが一つの手がかりになります。
ステップ2:自社方針の理解
次に、自社のサステナビリティ方針を知り、何を目指し、なぜ取り組むのかを理解する段階です。方針に掲げられた言葉や目標の背景まで伝え、自社が取り組む意義への共感につなげていきます。
自社のサステナビリティ方針や、重点的に取り組む課題「マテリアリティ」を紹介するときは、課題名称や目標値とともに、その背景まで伝えます。「なぜ、この課題を選んだのか」「自社の事業や理念とどのような関係があるのか」が分かると、社員も方針の意味を考えられます。
また、ここで大切なのは「サステナビリティを本業に加えて取り組む別の活動」として伝えないことです。自社の企業理念やミッション・ビジョンとどうつながり、日々の事業活動と共にどのような未来を目指しているのか。その関係を丁寧に伝える必要があります。
ステップ3:業務とのつながりを実感
自社のサステナビリティ方針が、自分の業務や役割とどうつながっているのかを実感する段階です。「会社として大切なこと」から「自分の仕事にも関係すること」へと捉え方を深めていきます。
例えば、「廃棄物」に関するマテリアリティであれば、製造部門では材料の使い方や不良品の発生、開発部門では製品の設計、管理部門では備品の調達・利用など、立場によって考える視点が変わります。
サステナビリティ方針をそのまま繰り返し伝えるだけでなく、「自分たちが日々取り組んでいる仕事のうち、何が関係するだろうか」と問いかけることが大切です。すでに行っている業務改善が、自社の方針につながっていると気づく場合もあるでしょう。
業務とのつながりを実感してもらうには、説明を聞くだけでなく、対話やワークを通じて自分で考え、言葉にする時間を設けることが大切です。自分で見つけたつながりだからこそ、「それなら、こうしてみよう」という行動への意欲にもつながります。
ステップ4:新たな行動を想起
業務とのつながりを踏まえて、「自分の仕事で、こんなことができるのではないか」と、新たな行動を思い描く段階です。
アイデアが生まれても、そのまま実行できるとは限りません。日々の業務に追われて後回しになったり、上司の了承や他部門の協力が得られず、止まってしまったりすることもあります。本人の意欲に期待するだけでなく、行動に移せるようにするための後押しが必要です。
例えば、誰が・いつ・何をするかをガントチャートに落とし込む。自社方針と部門の業務を結び付けたKPIを決める。取り組みや工夫を上司が認め、評価する機会を設ける。こうした仕組みを整えていくため、この段階では研修やワークショップではなく、日々の実務を通じて試してみることが増えていきます。
ここまで説明した4つのステップで目指す社員の状態を、以下にまとめました。自社の状況と照らし合わせながら、どこまで浸透が進み、どのような働きかけが必要かを考えてみてください。
| ステップ | 目指す状態 |
|---|---|
| 基礎知識の醸成 | 企業がサステナビリティに取り組む理由を理解している |
| 自社方針の理解 | 自社の重点課題と、それに取り組む理由を理解している |
| 業務とのつながりを実感 | 自業務がどのマテリアリティに貢献するかを実感している |
| 新たな行動を想起 | マテリアリティへの貢献につながる具体的な取り組みを、自業務の中で考えられる |
階層ごとの浸透状況を把握する
4つのステップを押さえたら、次は自社のどこに働きかけが必要なのかを考えていきましょう。そのために、経営層・管理職・一般社員といった階層ごとの浸透状況を整理します。
同じ会社でも、階層によって理解や関心には違いがあります。経営層は方針を理解していても、管理職は自部門で何に取り組めばよいか迷っているかもしれません。管理職が取り組みを進めていても、一般社員にはその目的が十分に伝わっていないこともあります。
こうした違いを捉えるために、波濤では「レイヤー別分析」を用いています。縦軸に階層、横軸に4つのステップを置き、それぞれの交点で現在の浸透度を「○・△・×」で評価します。

表を埋めてみると、「どの階層の、どのステップが不足しているか」が見えてきます。△や×が複数ある場合は、どこから取り組むか、優先順位を決めましょう。
基本は、マトリクスの「左上から右下へ」です。△や×がついた箇所のうち、左上に近い課題から優先して取り組みます。
まずは、経営層がサステナビリティに取り組む意味を理解し、自社の方針に納得していることが土台になります。そのうえで、管理職が方針を自部門の仕事に結びつけ、一般社員も日々の業務でできることを考えられるように、働きかけを広げていきます。
この分析に使える「社内浸透測定シート」を無料でご用意しています。自社の状況を整理する際に、ぜひご活用ください。

優先する対象と目指す状態を決める
レイヤー別分析を整理したら、その結果をもとに、どこから働きかけを行うかを考えます。浸透が不足している部分が複数あっても、すべての階層に一度に同じ力をかけるのは難しいため、優先して取り組む対象を絞りましょう。
優先する対象が決まったら、その階層の社員に、1年後、2年後にどうなっていてほしいのか、目指す状態を言語化します。
例えば、管理職を対象にするなら、「1年後にはサステナビリティ方針と自部門の業務とのつながりを理解している」「2年後には部門として取り組みたいことを社員と話し合い、日々の業務の中で実践を進めている」といった状態が考えられます。
ここまで具体化すると、向こう1年、2年で必要な施策が検討しやすくなります。方針を理解する機会を設けるのか、業務とのつながりを考える場をつくるのか、実践を後押しする仕組みを整えるのか。目指す状態を起点に、必要な施策とその順序を考えられるようになります。
なお、目指す状態は、定性的で構いません。 対象となる社員がどのように考え、サステナビリティに取り組んでいてほしいのか。関係者がその姿を思い浮かべられるよう、具体的な言葉にしておくことが大切です。
経営層研修の切り口
波濤には、「経営層の理解や関心を高めたい」というご相談が多く寄せられます。
経営層には、自社がサステナビリティに取り組む理由を自らの言葉で社員に伝え、経営判断や各部門の取り組みに反映していく役割が求められます。そのため、一般社員向けの基礎研修をそのまま実施するのではなく、経営層の現状に合わせて内容を考えることが大切です。
経営層向けの研修を考える際は、次の3つの視点から扱うべき内容を整理してみましょう。

| 要素 | 確認したいこと | 不足している場合のアプローチ |
|---|---|---|
| ① 基礎知識 | サステナビリティ経営の全体像と、自社が目指す取り組み水準を共有できているか | 基本的な考え方や推進の流れを学び、自社がどの水準を目指すかについて共通認識をつくる |
| ② 外部環境と事業への影響 | 顧客や取引先などの変化を、自社の事業上のリスクや機会として捉えられているか | 自社に関係する外部環境の変化や同業他社の事例から、自社の事業活動に及ぼす影響を考える |
| ③ 経営層同士の対話 | 取り組む理由や優先する課題について、互いの考えを話し合えているか | 対話型ワークショップを通じて、役員ごとの考えや懸念を共有し、会社としての方向性や優先順位について合意する |
3つの要素のうち、今の自社に不足しているものに重点を置きましょう。 例えば、知識があり、事業への影響も認識しているのに方針が定まらない場合は、経営層同士で考えを共有し、方向性を話し合う時間が必要です。
また、規制や取引先からの要請だけでは、取り組む意義を実感しにくい場合もあります。そのときは自社の経営理念や強みが、社会課題とどうつながっているかを考えてみましょう。「外から何を求められているか」とともに、「自社として何を大切にし、社会にどう貢献したいか」を話し合うことも、取り組む理由を明確にするきっかけになります。
詳しくは、「経営層向けサステナビリティ研修を成功させるには?押さえるべき3つの要素」をご覧ください。
経営層への働きかけにお悩みの方へ
波濤では、経営層の現状や目指す状態に合わせて、研修・ワークショップをご提案しています。「何を伝えればよいか」「どのような対話が必要か」から、無料個別相談でお聞かせください。
「学ぶ・気づく・伝える」で社内浸透の精度を高める
優先する対象と目指す状態が決まったら、現状とのギャップを埋める施策を考えます。基礎知識を身につける機会が必要なのか、自社方針への理解を深めたいのか、それとも業務とのつながりを考えてほしいのか。どこを進めたいかによって、必要な働きかけは変わります。
担当者の方から「社内浸透が一気に進む、とっておきの施策はありませんか」と聞かれることがあります。その気持ちはよく分かりますが、一つ実施すれば組織全体が変わるような特別な施策はなかなかありません。
そこで皆さんに重視してほしいのは、一つひとつの施策をつなぎ、そこで生まれた学びや気づきを、次の人や次の取り組みに生かしていくことです。
先ほどの4つのステップでは、社員にどのような状態を目指してほしいかを整理しました。ここからは、その状態に近づくために、どのような機会をつくればよいかを「学ぶ・気づく・伝える」の3つの視点で考えていきます。

| 機会 | 内容 | 施策の例 |
|---|---|---|
| 学ぶ | サステナビリティの基礎や、自社が取り組む理由・方針を知る | 研修、eラーニング |
| 気づく | 学んだ内容を自分の業務に当てはめ、つながりや取り組めることを考える | ワークショップ、職場での対話、業務の振り返り |
| 伝える | 自分の学びや気づき、実践したことを、自分の言葉で周囲に共有する | 経営層のメッセージ動画、部門会議での発表、社員の取り組み紹介動画 |
例えば、基礎研修で知識を得た後に、職場で「自分たちの仕事と、どこでつながっているだろう」と話し合う。その中で見つけた接点や取り組みのアイデアを、ほかの社員にも共有する。このように、何を学んでもらうかに加えて、その後に何を考え、誰と共有するかまで設計しておくことが、社内浸透を進めるうえで効果的です。
誰かの気づきを、次の人の学びにつなげる
「学ぶ・気づく・伝える」は、一人の社員の中だけで完結するものではありません。ある人が伝えたことが、別の人にとっての学びや気づきになることもあります。
例えば、経営層向け研修の場で、自社がサステナビリティに取り組む理由を考えてもらったとします。その後、そこで得た気づきを自らの言葉で語る動画にまとめます。
経営層にとって、この動画は学んだことを整理して「伝える」機会です。一方、視聴する社員にとっては、自社が取り組む理由や経営層の考えを「学ぶ」機会になります。さらに、動画を見た後に職場で話し合う時間を設ければ、自分たちの業務とのつながりに「気づく」機会へと進められます。
このように誰かの学びや気づきを次の人に届け、そこから新たな気づきが生まれる。その循環をつくることが、社内浸透を進めるうえで大切です。
社員が実践した取り組みを社内報で紹介することも、同じようにつながります。その経験や工夫を読んだ別の社員が、「自分の部署でもできるかもしれない」と考えるきっかけになるからです。
施策を検討するときは、「この施策で生まれた学びや気づきを、次に誰へ、どのように届けるか」まで考えてみてください。研修、動画、ワークショップ、社内報をこうして組み合わせることで、それぞれの役割が明確になり、継続的な社内浸透につなげやすくなります。
社内浸透に活用できる具体的な施策
ここでは、代表的な社内浸透の施策と、期待できる効果やメリットをご紹介します。
| 施策 | 概要 | 期待できる効果やメリット |
|---|---|---|
| 研修 | 講師の解説や質疑応答を通じて、基礎知識や自社の方針を学ぶ | 必要な知識を体系的に学び、疑問を解消しながら共通の理解をつくれる |
| ワークショップ | 対話やグループワークを通じて、業務とのつながりや取り組みを参加者自身が考える | 自分で考え、他者の視点に触れることで、気づきや具体的な行動案が生まれやすい |
| eラーニング | オンライン上の動画や教材を使い、社員が個別に学習する | 拠点や勤務時間が異なる社員にも共通の学習機会を届けられ、繰り返し学べる |
| オリジナル動画 | 自社の方針や経営層のメッセージ、社員の実践などを映像にまとめる | 自社に即した内容にできるため、社員が理解しやすく、取り組む意義への共感も生まれやすい |
| 社内報 | 社内の取り組みや社員へのインタビューなどを、紙面やWebで定期的に発信する | 日常的に情報に触れる機会をつくり、ほかの部署の工夫や実践を社内に広げられる |
| 社内イベント | サステナビリティをテーマにした講演会や体験企画、交流の場を設ける | 普段関心の薄い社員が参加するきっかけや、部署を越えた交流が生まれやすい |
| 社内公募・アイデア募集 | 社員から業務改善や新たな取り組みの提案を募り、実施を検討する | 現場ならではの発想を集め、社員が自ら提案し、取り組みに関わる機会をつくれる |
| 表彰制度 | サステナビリティに貢献する社員やチームの取り組みを評価し、表彰する | 挑戦や工夫が認められることで継続する励みになり、ほかの社員の参考にもなる |
同じ施策でも、伝える内容や使い方によって、果たす役割は変わります。例えば動画なら、基礎知識を学んでもらうことも、経営層の思いを届けることも、社員の取り組みを紹介することもできます。「誰に、どうなってほしいか」を踏まえて、施策とその内容を考えましょう。
じっくり考える機会と、日常的に触れる機会を組み合わせる
施策を選ぶ際は、社員にじっくり考えてもらう施策と、日常的にサステナビリティに触れてもらう施策をうまく使い分けましょう。
例えば、経営層が自社の方向性を話し合ったり、管理職が部門の取り組みを考えたりする場面では、研修やワークショップなど、時間を確保して向き合う機会が必要です。特に、優先して働きかけたい対象には、疑問や迷いも含めて話し合える場を設けましょう。
一方、社内報や短い動画は、日々の業務の中でサステナビリティに触れてもらうために活用できます。現時点では重点的に働きかけていない階層にも、関心を持ってもらうきっかけになります。また、研修を受けた社員にとっても、学んだことを思い出し、自分の仕事とのつながりを考える機会になります。
限られた時間や予算の中で進めるからこそ、どの対象にはじっくり向き合う場が必要で、どの対象には日常的な発信を続けるのかを考え、施策を組み合わせていきましょう。
波濤では、こうした社内浸透を進めるための研修やコンテンツ制作をご支援しています。具体的な支援内容は、以下からご覧いただけます。
年間計画を立て、施策の順序と時期を決める
ここまで整理すると、「経営層には自社が取り組む理由を共有したい」「管理職には業務とのつながりを考えてほしい」など、さまざまな対象に向けて、実施したい施策が見えてくるでしょう。
単発の研修であれば、まずはその実施時期を決めるところから始められます。一方、複数の階層に働きかけたり、いくつかの施策を組み合わせたりする場合には、年間計画に落とし込むことが重要です。
対象ごとの施策を、年間の予定に落とし込む
まずは、優先する対象と目指す状態をもとに、実施したい施策を年間の予定に並べます。
その際は、研修やワークショップなどの日程と併せて、社内報や動画などを通じて継続的に情報を届ける時期も決めておきましょう。誰にどのような機会を設けるのかを一覧にすると、施策が特定の時期に集中していないか、発信が途切れる期間がないかも確認できます。

実施時期は、対象者の繁忙期や会社の意思決定のタイミングを踏まえて考えます。他部署が予定している社内研修やイベントも確認し、日程の重複や、同じ社員への参加依頼が集中しないように調整しましょう。 内容が関連する場合は、既存の研修やイベントに組み込むことも考えられます。また、予算に合わせて、外部の支援を活用する部分と、社内で進める部分を整理しておくことも必要です。
振り返りと来期計画まで、先に予定を決めておく
年間計画には、施策の実施に加えて、浸透状況を確かめる調査と、その結果をもとに来期の取り組みを考える時間も組み込みます。
ここで起点になるのが、次年度の予算申請や計画策定の締切です。調査をしても「結果がまとまる頃には予算が決まっていた」ということでは、必要な施策を翌年度に反映しにくくなります。締切から逆算して、調査・分析・関係者との検討の時期を決めましょう。
振り返りでは、目指した状態にどこまで近づいたかを確認し、続ける施策や見直す施策を考えます。こうして毎年の結果を次の計画に生かすことで、自社の状況に合った取り組みへと更新していけます。
年間計画の詳しい進め方は、「サステナビリティ社内浸透の年間計画|失敗しない4ステップ」で解説しています。
自社に合う施策の組み合わせを考えたい方へ
「何を優先するか」「研修と継続的な発信をどう組み合わせるか」に迷ったら、波濤の無料個別相談をご活用ください。これまでの取り組みやご予算、実施時期を伺い、進め方を一緒に考えます。
効果測定で社内の変化を捉える
社内浸透施策を実施したら、社内の状態がどう変わったのかを振り返りましょう。「研修を予定どおり実施できた」「多くの社員が受講した」という実施状況と併せて、最初に設定した目指す状態にどこまで近づいたかを確かめます。
その際は、社員の理解や意識がどう変わったかに加えて、実際の仕事で行動に移せているか、職場にその行動を後押しする雰囲気があるかも確かめましょう。そこまで振り返ることで、次に必要な働きかけが見えてきます。
研修アンケートと浸透調査を分ける
研修やeラーニングの直後には、内容を理解できたか、仕事に生かせそうな気づきがあったかなど、コンテンツに対するアンケートを実施する企業は多いでしょう。ただし、「理解できた」「役に立ちそうだ」という回答があっても、実際の行動につながったかは、その時点では分かりません。
社内浸透を通じて行動変容を目指すのであれば、社員が実際に行動できる状態に近づいているかまで確かめる必要があります。そのため、研修直後のアンケートとは別に、例えば年に一度、社内の浸透状況を調べる機会を設けましょう。
研修ごとの反応と、年間を通じた社員や職場の変化をあわせて見ることで、施策が目指す状態につながっているかを振り返り、次の取り組みを考えやすくなります。
「個人の思い」と「職場の雰囲気」を確かめる
社内浸透の状況を捉えるには、「個人の思い」と「職場の雰囲気」の両面から確かめることをおすすめします。 本人が前向きに取り組みたいと思っていても、部署内で話題にならず、上司にも相談しにくければ、行動に移すのは難しいからです。
アンケートでは、例えば次のようなことを聞きます。
| 確認する観点 | 設問例 |
|---|---|
| 個人の思い | 自社がサステナビリティに取り組む意義に共感しているか。 自分の仕事を通じて貢献できると感じているか。 新たな取り組みや改善を考え、実践してみたいと思っているか。 |
| 職場の雰囲気 | 部署やチームでサステナビリティについて話す機会があるか。 部署としての目標や役割が共有されているか。 上司が取り組みに前向きで、新たな提案を相談しやすいか。 |
この2つを分けて見ることで、本人の共感や意欲を高める働きかけが必要なのか、職場で行動を後押しする関わりが必要なのかを考えられます。
階層・部門ごとの結果から、次の施策を考える
集計したら、全社の傾向に加えて、階層・部門ごとの違いを見ていきます。全社平均では見えにくかった課題も、対象を分けると捉えやすくなります。
例えば、自社方針は理解されている一方で、業務とのつながりが見えていない部門には、その部門の仕事を題材にしたワークショップを検討できます。
実際に、ある企業では階層別に調査結果を見たところ、部長層に比べて課長層の共感スコアが低く、両者の間に差があることが分かりました。そこで次年度は、課長層を対象にワークショップを実施。その後の調査では、課長層の共感スコアが上昇しました。
このように、どの階層で何が課題になっているかを捉えることで、次に働きかける対象と施策を具体化できます。

前年と比較する場合は、同じ観点を継続して確認し、回答者の構成や実施時期の違いも踏まえて変化を読み取ります。数字と現場の声を照らし合わせ、何が進み、何が課題として残っているかを整理しましょう。
その結果を経営層や関係部門と共有し、来期は誰に、何を働きかけるのかを決めます。 継続する施策、内容を更新する施策、新たに必要な支援を整理すれば、次年度の計画や予算を説明する際の根拠にもなります。
自社に合う研修会社を選ぶには
研修会社を選ぶ際は、研修の内容や価格、講師の経歴などを確認されると思います。もちろん、いずれも大切な判断材料です。そのうえで、自社の課題や目指す状態を踏まえて、研修を一緒に考えてくれるかどうかにも目を向けてみてください。
研修会社から提示されたプログラムの中から選ぶことだけに目を向けると、自社の課題と研修の内容がかみ合わないまま進んでしまうことがあります。まずは「誰を対象に、研修後にどうなっていてほしいか」を研修会社に伝えましょう。 そのうえで、自社の課題や目的を踏まえた提案をしてもらえるかを確かめることが大切です。
依頼先を検討するときは、次のような点が参考になります。
| 確認したい点 | 打ち合わせで確かめること |
|---|---|
| 自社の状況を理解しようとしてくれるか | これまでの施策や社員の反応、今困っていることまで聞いてくれるか |
| 目的に合わせて内容を調整できるか | 自社の方針や事業、対象者の業務に即した内容を取り入れられるか |
| 社員自身が考える機会を設計できるか | 一方向の説明に加え、目的に応じた対話やワークを組み込めるか |
| 研修後の展開まで相談できるか | 学びを職場でどう共有し、実践につなげるかまで一緒に考えられるか |
例えば、「管理職に自分ごととして捉えてほしい」という依頼でも、方針への理解が不足しているのか、業務とのつながりが見えていないのか、取り組む余裕や権限がないのかによって、必要な支援は変わります。こうした背景を確かめたうえで、なぜそのプログラムを提案するのか説明してもらえると、担当者も判断しやすくなります。
また、既製のプログラムでも、基礎知識を学ぶ目的に合っていれば十分に活用できます。自社独自の課題を扱いたい場合には、どこまで内容を調整できるか、そのためにどのような事前情報や打ち合わせが必要かを確認しておきましょう。
研修の目的整理や依頼先を検討する際の考え方は、「サステナビリティ研修の効果を高めるには?担当者が押さえておきたい研修設計の基本」でも詳しく解説しています。
まとめ
長い記事を最後までお読みいただき、ありがとうございました。自社の状況を思い浮かべながら、読んでくださった方もいらっしゃると思います。
サステナビリティの社内浸透は、すぐに成果が見えることばかりではありません。研修を実施しても反応が薄かったり、伝え方を工夫しても仕事とのつながりを感じてもらえなかったりと、担当者として次に何をすればよいか迷うこともあると思います。
そんなときは、この記事でご紹介した4つのステップやレイヤー別分析が、状況を整理する手がかりになればうれしいです。すべてを一度に進めようとせず、まずは優先したい対象と、目指す状態を一つ決めるところから始めてみてください。そこから、今の自社に必要な取り組みが見えてくるはずです。
また「社内浸透の考え方は分かったけれど、自社ではどこから始めればよいだろう」と感じた方もいらっしゃるかもしれません。そのときは株式会社波濤にご相談ください。これまでの取り組みや社内の反応を伺い、課題と目指す状態を一緒に整理したうえで、必要な施策を考えます。一回の研修・ワークショップから、社内向け動画や社内報の制作、年間計画、効果の確認まで、ご相談いただけます。
何を依頼するか決まっていなくても構いません。「ここまでは進めたけれど、次の一手に迷っている」。そんな今のお悩みから、無料個別相談でお聞かせいただければと思います。
また「サステナビリティに関する知識を身につけたい」という方に向けて、お役立ち資料も無料でご用意しています。この記事のテーマである社内浸透以外にも、様々なテーマのお役立ち資料を用意しております。気になるものからダウンロードし、ご活用ください。

-1.png)
