近年、海洋生態系がCO₂を吸収・貯留する「ブルーカーボン」がビジネスの文脈でも注目されています。
なぜ企業が取り組むのか、どう関わればよいのか。
本記事では、ブルーカーボンに取り組みことの①企業メリット、②関わり方、③国内外の事例を分かりやすく解説します。
こちらの内容はYouTubeでもご覧いただけます。
データで見る「ブルーカーボン」市場のポテンシャル
ブルーカーボン/ブルーエコノミーの潜在力は複数のデータから読み取れます。
ブルーエコノミー全体市場規模
デロイトトーマツの試算では、2030年までに世界で約500兆円規模に到達する見込み。
カバー領域は漁業・海運・沿岸観光といった既存分野から、浮体式洋上風力、海水淡水化などの新興分野まで幅広いとされています。日本近海には未開発資源も多く、国内でも大きなポテンシャルが見込まれます。
海藻関連の新市場
世界銀行は、海藻養殖市場が2030年までに118億ドルに成長すると言及。
食品用途以外でも、生物刺激剤・動物飼料・ペットフード・メタン削減添加剤など有望市場が示され、これら4分野だけで2030年に44億ドルに達する見通しが示されています。
これらから、ブルーカーボンは「環境のための善い行い」だけでなく、本格的な事業機会でもあることがわかります。
企業とブルーカーボンの関わり方:3つのパターン
企業がブルーカーボンに関わる方法は、大きく3パターンに整理できます。
種の移植、成長促進、藻場を食害する天敵の駆除など、取り組みの結果として藻場そのものを増やすアプローチ。
例えば、藻場の生息状況をダイバー調査するにも1平方kmあたり約1,500万円と高コストになりがち。より安価で手軽なモニタリング技術を確立できれば、藻場の維持管理を大きく後押しします。
もっとも始めやすい関わり方。まずはクレジットの購入から着手し、自社の気候貢献・調達戦略に位置づけることができます(詳細は公式情報を参照)。
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国内外の先進事例:5つのアプローチ
ウニノミクス株式会社(日本)
磯焼け(藻場の衰退)地域の身入りが悪いウニを買い取り、独自技術で蓄養して食用として販売。結果としてウニ個体数を抑制 → 藻場回復に貢献。同時に地域漁業の経済循環も生まれます。

引用:ウニノミクス株式会社 HP(https://www.uninomics.co.jp/)
Sway(米国)
海藻由来のプラスチック代替パッケージを開発。既存設備との互換性を重視し、導入障壁を下げています。石油由来素材の代替として、資材調達と環境負荷低減を同時に進めるアプローチ。

引用:Circular Economy Hub(https://cehub.jp/news/sway/)
KDDI株式会社(日本)
水中カメラ×漁船による画像・位置情報から、ブルーカーボン貯留量を自動計測するシステムを開発。
ダイバー調査や水中ドローンの課題(安全性・コスト・運用制約)を乗り越え、日常の漁業活動と計測を両立させ、人的・金銭的コストを圧縮。

引用:株式会社KDDI総合研究所(https://newsroom.kddi.com/news/detail/kddi_pr-826_1.html)
電源開発株式会社(J-POWER/日本)
銅スラグ×石炭灰を配合した「Jブルーコンクリート」を開発。
製造コスト低減・CO₂排出を約3分の1に抑制可能。表面に凹凸加工を施し海藻が付着しやすく、消波ブロックに用いることで藻場造成に寄与。

引用:電源開発株式会社(https://www.jpower.co.jp/ge/74/power/)
Symbrosia(ハワイ)
赤い海藻「鍵毛のり」を陸上養殖し、飼料添加物「SeaGraze」として販売。
牛のゲップ由来メタン排出を98%以上抑制する効果が示され、2022年6月に700万ドルの資金調達も実施。農畜産×気候の交点で市場を切り拓いています。

引用:Algae Planet(https://algaeplanet.com/ja/symbrosia-raises-7-million-to-scale-methane-reducing-seagraze/)
いずれの事例も、環境貢献と事業性を両立させている点が共通項です。
取り組みを継続可能にする考え方
ブルーカーボンを続けるには、事業性の視点が欠かせません。
・自社の強み(技術・アセット)×海洋課題の重なりを見つける
・3つの関わり方(直接増成/間接支援/クレジット)から実行可能性の高いものを選ぶ
・小さく試し、コストとインパクトを見える化してスケールする
・社会貢献を目的に据えつつ、資金循環の仕組みを設計する
まとめ | ビジネスだからこそ続けられるブルーカーボン
今回のまとめとして、重要なポイントは下記3点です。
・市場開拓のチャンスがあり、事業として成立させることで継続性が高まる
・企業の関わり方は3パターン(直接増成/間接支援/Jブルークレジット)
・国内外の事例は、環境と経済の両立が十分可能であることを示している
ブルーカーボンを「善い取り組み」で終わらせず、事業として育てる。それが、企業に求められるアプローチです。本記事の学びを土台に、まずは自社に合う関わり方から一歩を踏み出してみてください。
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