コンプライアンスとは?意味や違反事例をわかりやすく解説

コンプライアンスは、企業活動において欠かせない重要な概念です。

一方で、「言葉は知っているものの、自分の言葉で説明できない」という方も少なくありません。理解が曖昧なままでは、意図せずコンプライアンス違反を引き起こしてしまうリスクもあります。

ほな社長

本記事では、コンプライアンスの基本的な意味をはじめ、重視される背景、類似用語との違い、代表的な違反事例、そして企業が取るべき対策までを網羅的に解説します。

サステナビリティコンサルタントの視点から、実務に活かせる形でわかりやすく整理していきます。

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目次

コンプライアンスの意味とは

コンプライアンスとは

コンプライアンスとは、一言で言えば「法令遵守」を意味し、企業や個人が法令や社会的ルールを守ることを指します。

ここでいう法令とは、国が定めた法律や規則などの総称であり、それらに従って行動することがコンプライアンスの基本です。

ただし近年では、「法令を守るだけでは不十分」と考えられるようになっています。法律に明記されていない内容であっても、企業が自ら定めた社内規程や就業規則、さらには社会から求められる倫理観や常識も含めて遵守することが求められています。

このように、現代のコンプライアンスは次の3つの要素で構成されます。

①法令(法律・規則)の遵守
②社内規程・就業規則の遵守
③社会的倫理・道徳の遵守

単なるルール順守にとどまらず、「社会から信頼される行動をとること」まで含めて捉えることが、現代のコンプライアンスの本質です。

コンプライアンスが重視される背景

では、なぜ企業におけるコンプライアンスがこれほどまでに重視されるようになったのでしょうか。

その背景には、1990年代以降に相次いで発覚した企業不祥事があります。

リコール隠しや食品偽装、粉飾決算といった問題が次々と明らかになったことで、社会全体が企業に対して強い説明責任と法令遵守を求めるようになりました。これを契機に、日本でもコンプライアンス意識は急速に高まりました。

さらに、インターネットやSNSの普及により、企業活動は常に社会の監視下に置かれるようになっています。不祥事は瞬時に拡散され、企業価値に大きな影響を与えかねません。こうした環境の変化も、コンプライアンス重視の流れを後押ししています。

加えて近年では、サステナビリティやESG(環境・社会・ガバナンス)を意識した経営が求められています。短期的な利益だけを追求し、環境や人権に配慮しない企業は、もはや社会から評価されません。

ほな社長

コンプライアンスを徹底することは、ESGの「G(ガバナンス)」の強化にも直結します。こうした背景から、企業におけるコンプライアンスの重要性は、これまで以上に高まっているのです。

コンプライアンスとコーポレートガバナンスの違い

コンプライアンスについて学ぶ際によく挙がるのが、「コーポレートガバナンスとの違いがよく分からない」という疑問です。

コーポレートガバナンスとは、企業の不正や不祥事を防ぎ、健全で公正な経営が行えるよう監視・統制する仕組みのことです。

この説明を聞くと、「コンプライアンスもコーポレートガバナンスも、企業の健全化を目指すという点で似ているのでは?」と感じる方も多いでしょう。

確かに意味合いは近いですが、両者の間には「範囲の大きさ」という明確な違いがあります。

・コーポレートガバナンス : コンプライアンスを含め、企業全体を適切に統治するための仕組み。組織全体を対象とする概念。

・コンプライアンス : 法令や社会的ルールを守ること。主に個人やチームの行動・意識にフォーカスした概念。 

つまり、コーポレートガバナンスはコンプライアンスを内包するより大きな概念です。コンプライアンスを実効的に機能させるためには、コーポレートガバナンスという組織的な仕組みが不可欠であると理解しておくと、両者の関係が整理しやすくなります。

コンプライアンス違反の代表的な4つの事例

コンプライアンス違反にはさまざまなケースがありますが、ここでは特に発生しやすい4つの事例を紹介します。

①労働問題

上限を超えた時間外労働や残業代の未払い、セクシャルハラスメント・パワーハラスメントなどは、「労働基準法」などで明確に禁止されています。

とりわけ、過重労働が従業員の命を奪う深刻な事案が社会問題化していることを背景に、近年は行政による監督や企業への社会的要請が一層強まっています。

一方で、企業内で長年続いてきた「暗黙の了解」「現場慣行」が、実はコンプライアンス違反に該当しているケースも少なくありません。こうしたリスクは特別な場面に限らず、日常業務の中に潜んでいます。

だからこそ、現場任せにせず、組織として継続的に点検・是正していく視点が求められます。

②情報漏洩

企業が管理する顧客情報の流出や、未公開情報を利用したインサイダー取引などは、重大なコンプライアンス違反に該当します。

近年はリモートワークの普及に伴い、業務用パソコンやUSBメモリの紛失・盗難といったヒューマンエラーを起因とする情報漏洩リスクが一層高まっています。

情報漏洩が発生した場合、企業は損害賠償や対応コストといった金銭的ダメージにとどまらず、長年にわたって築いてきた社会的信用や取引先からの信頼を一瞬で失う可能性があります。さらに、事業機会の損失や取引停止など、中長期的な経営への影響も避けられません。

こうしたリスクを踏まえると、情報管理は単なるIT部門の課題ではなく、全社的に取り組むべき経営課題といえます。ルール整備やシステム対策に加え、従業員一人ひとりの意識向上を含めた統合的な管理体制の構築が求められます。

③不正会計・不正利用

株価維持を目的とした虚偽の決算報告(粉飾決算)や、脱税を目的とした所得隠し、社内備品の私的流用などは、いずれも企業における不正行為に該当します。

近年では、新型コロナウイルス感染症対策として導入された持続化給付金の不正受給が相次ぎ、企業・個人を問わず社会的問題となりました。

これらの不正は、個人のモラルの問題にとどまらず、組織としての統制不備やチェック機能の形骸化といった構造的な課題を背景に発生するケースも少なくありません。発覚した場合には、刑事責任を問われる可能性があるだけでなく、企業の信用失墜や事業継続への重大な影響につながるおそれがあります。

そのため、不正を「起こさない仕組み」をいかに構築するかが重要です。内部統制の強化や牽制機能の確保に加え、不正を許さない組織風土の醸成など、経営レベルでの継続的な取り組みが求められます。

④景品表示法違反

消費者に誤解を与えるような誇大広告や、根拠のないデータを用いた広告表示は、「景品表示法」によって禁止されています。

実際よりも著しく優れているかのように見せる「優良誤認表示」や、実際よりも有利な取引条件であるかのように見せる「有利誤認表示」が代表的な例です。

近年は、WebサイトやSNS、比較広告など表現手法の多様化に伴い、意図せず違反に該当してしまうケースも増えています。特に、数値データやNo.1表記、口コミの活用などは、裏付けとなる合理的根拠が求められるため注意が必要です。

こうした不適切な表示は、消費者の信頼を損なうだけでなく、措置命令や課徴金納付命令といった行政処分の対象となる可能性があります。

そのため、マーケティング・広告担当者に限らず、法務部門との連携や事前チェック体制の構築など、組織的な管理が不可欠です。

コンプライアンス遵守のための3つの対策

コンプライアンス違反にはさまざまなケースがあるため、企業には相応の対策が求められます。ここでは、コンプライアンスを遵守するうえで特に有効な3つの方法を解説します。

対策①マニュアル作成

コンプライアンスを組織として守るためには、企業のルールや方針を明確にしたマニュアルが不可欠です

マニュアルには、守るべきルール・禁止行為・不祥事発生時の対応手順・再発防止策などを具体的に記載します。

また、自社の業務に関連する法律の知識も必要になるため、マニュアル作成の際には弁護士などの専門家に相談することも重要です。「なんとなく作る」のではなく、法的観点を踏まえた実効性の高いマニュアルを整備することが求められます。

対策②コンプライアンス研修の実施

全社員がコンプライアンスの重要性を常に意識するためには、定期的な研修の実施が欠かせません。

研修ではコンプライアンスの基本的な知識にとどまらず、「日常業務の中でどのような行為が違反に当たるか」をケーススタディを通じて学ぶことで、より実践的な理解が深まります。

コンプライアンスに関する法令や社会的基準は常に変化しています。一度実施して終わりにするのではなく、定期的に内容を見直しながら継続的に実施することが重要です。

ほな社長

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対策③相談窓口の設置

コンプライアンス違反は、従業員からの内部通報によって発覚するケースが少なくありません。そのため、違反の疑いがある事案を匿名で報告できる「内部通報窓口(相談窓口)」を設けることが重要です。

通報者が不利益を被らないよう保護する体制を整えることで、従業員は安心して問題を報告でき、企業は不祥事を未然に防ぐことができます。2022年に改正された「公益通報者保護法」では、一定規模の事業者に対して内部通報制度の整備が義務付けられているため、法的な観点からも対応が求められます。

まとめ & お役立ち資料

ほな社長

本記事では、コンプライアンスの意味や背景・違反事例・そして実務上の対策について解説しました。

コンプライアンスとは、単に法律を守るということにとどまらず、社内規程の遵守・社会的倫理への配慮を含む、企業経営の根幹をなす概念です。そして、コーポレートガバナンスという組織的な仕組みと両輪で機能してこそ、実効性のあるコンプライアンス経営が実現します。

違反事例を見ても分かるように、コンプライアンスが問われる場面は労働・情報・財務・広告など、企業活動のあらゆる側面に及びます。対策としてのマニュアル整備・研修実施・相談窓口設置を着実に進めることが、企業の持続的な成長を支える土台となります。

また、コンプライアンスはサステナビリティ経営やESG推進とも密接に関連しています。ガバナンスの強化を起点として、企業価値の向上につなげていく視点が、これからの経営には一層求められるでしょう。

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