サステナビリティについて学び始めると、次から次へと横文字が登場します。どれも似たような意味合いに見えるのに、なぜこれほど多くの用語が存在するのか。そんな疑問を持つのは当然のことです。
これまで200社以上のサステナビリティ経営を支援してきた経験から、筆者はこうした「横文字多い問題」に悩む担当者を数多く目にしてきました。各用語の意味と関係性さえ正しく理解すれば、自社に合った用語選びも自然と見えてきます。

本記事では、サステナビリティ・SDGs・ESG・CSR・CSVの5つの用語について、それぞれの意味、相互の関係性、そして実務での使い分けポイントを徹底解説します。
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サステナビリティ(持続可能性)とは
- サステナビリティとは
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サステナビリティとは「持続可能性」を意味し、将来にわたって社会・環境・経済の機能を維持していくという考え方を指します。
例えば、地球温暖化の進行に伴い自然災害が増加しており、企業や社会全体においてCO₂排出量の削減など、持続可能な社会の実現に向けた取り組みが求められています。こうした背景から、サステナビリティは企業経営においても重要な概念となっています。
では、企業活動においては「サステナビリティ経営」と「サステナブル経営」のどちらを使用すべきでしょうか。この点については、いずれの表現も一般的に使用されており、どちらを用いても問題はありません。
ただし、一般的な使用傾向としては「サステナビリティ経営」の方が多く見られ、よりフォーマルな表現として採用されるケースが多いと考えられます。
SDGs(持続可能な開発目標)とは
- SDGsとは
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SDGsとは、Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略称です。
2016年から2030年の15年間で達成すべき世界共通の目標として国連が採択したもので、17の目標と169のターゲットで構成されています。

日本国内での認知度は9割を超えており、すでに広く知られた用語といえるでしょう。
「持続可能な開発」という表現に違和感を覚える方もいるかもしれません。一般的に開発が進めば環境への負荷も増すため、開発と持続可能性は相反するように思えます。
しかし、SDGsが目指す「持続可能な開発」とは「将来の世代のニーズを満たす能力を損なうことなく、今日の世代のニーズを満たすような開発」と定義されています。
つまり、経済活動が進めば環境破壊が進むといったトレードオフではなく、双方にプラスの影響をもたらすトレードオンの形を追求するものなのです。
ESGとは
- ESGとは
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ESGとは、Environment(環境)・Social(社会)・Governance(企業統治)の頭文字をとった略称で、企業の長期的な成長を評価する観点として注目されています。
特に、ESGの視点から企業を評価し投資を行う「ESG投資」が広がりを見せています。
各観点の具体的な内容は以下の通りです。
・E(環境) : 脱炭素、循環型社会の形成、生物多様性など
・S(社会) : 人的資本経営、人権尊重、安全衛生、アクセシビリティなど
・G(ガバナンス) : コンプライアンス、データセキュリティ、BCP対策など
なお、近年アメリカで反ESGの動きが活発化していますが、日本では開示要請がむしろ強まっており、ESGの重要性が後退するとは考えにくい状況です。
CSR(企業の社会的責任)とは
- CSRとは
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CSRとはCorporate Social Responsibility(企業の社会的責任)の略で、企業は利益追求だけでなく、社会に対する責任を果たすべきという考え方です。
CSRと聞くと、植林活動や街の清掃活動など、事業とは直接関係のない社会貢献活動をイメージする方も多いでしょう。
これが、CSRの取り組みがコストとみなされやすい歴史的な理由の一つでもあります。
CSV(共有価値の創造)とは
- CSRとは
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CSRとはCorporate Social Responsibility(企業の社会的責任)の略で、企業は利益追求だけでなく、社会に対する責任を果たすべきという考え方です。
今回紹介する5つの用語の中で、最も馴染みが薄い言葉かもしれません。
CSRとCSVは文字が似ていて混同しやすいですが、次の四象限で整理するとわかりやすくなります。
横軸を経済価値、縦軸を社会価値とすると:



・従来のビジネス : 経済価値を優先するため 右下に位置
・CSR : 事業活動とは無関係の奉仕活動なども含められるので左上に位置
・CSV : 経済価値と社会価値の両方を追求するため 右上に位置
つまりCSVは、社会課題の解決そのものをビジネスの中心に据えることで、利益追求と社会貢献を同時に実現しようとする、最も「攻め」の姿勢をもった概念といえます。
5つの用語の関係性
ここまで各用語の意味を解説してきましたが、5つの用語はどのように関係しているのでしょうか。

結論からいえば、どの用語もほぼ同じことを意味しています。環境問題や社会課題の解決を通じて、より良い世界の実現を目指す「持続可能な状態(サステナビリティ)」に収束します。
では、なぜこれほど多くの用語が生まれたのでしょうか。それは、各用語を提唱した主体が異なるためです。
・SDGs : 国連が「持続可能な社会を目指そう」と提唱
・ESG : 投資家が「企業を評価する基準として重視してほしい」と提唱
・CSR : 社会が「企業は利益追求だけでなく社会責任を果たすべき」と提唱
・CSV : 企業自身が「事業を通じた社会課題解決で企業価値を高める」と提唱
このように、これらの用語は提唱主体や文脈こそ異なるものの、いずれも「持続可能な社会の実現」という共通の方向性を有しています。
そして企業は、いずれの用語にもまたがる位置に存在しています。そのため、同一の目的に向かいながらも多様な概念が並存しているのです。
この関係性は、「提唱主体ごとに概念が整理されている」と捉えることで理解しやすくなります。複雑に見える用語群も、背景となる立場の違いに着目することで、体系的に整理することが可能です。
用語を選ぶ際のポイント
用語の意味と関係性が整理できたところで、次の疑問が浮かぶかもしれません。「結局、自社はどの用語を使って発信すればいいのか?」と。
各用語はほぼ同じことを意味しているため、厳密な正解はありません。200社以上の支援経験をもとに、筆者が考える「用語を選ぶポイント」をお伝えします。
ポイント① 迷ったら「サステナビリティ」を選ぶ
企業において最も広く使われているのが「サステナビリティ」です。サステナビリティはSDGs・ESG・CSR・CSVをすべて内包する上位概念であるため、幅広いステークホルダーに伝わりやすいという利点があります。
また、海外でもサステナビリティという表現が主流であり、SDGsの認知度は海外では日本ほど高くありません。グローバルな発信を視野に入れる企業にとっても、サステナビリティは最も無難な選択肢です。
ポイント② メッセージを届けたい相手に合わせる
一方で、すべての企業がサステナビリティを使うべきかというと、そうではありません。届けたいメッセージの相手によって、最適な用語は変わります。
・一般消費者(toC)向け : SDGsのほうが親近感があるため、BtoC企業での活用が多い。
・投資家・金融機関向け : ESGが適している。
・社内・従業員向け : CSRという用語は「他人事」として捉えられやすい傾向があるため、サステナビリティへの移行を検討するとよい。
ポイント③ CSVは認知度に注意
CSVは社会課題解決と利益追求を一体化した概念として、企業の積極姿勢を表すには最も適した用語といえます。ただし、一般認知度が低いのが最大のデメリットです。
過去に、CSV経営を推進していた企業から「取り組みがあまり認知されない」という相談を受けたことがあります。その企業は現在、情報発信ではサステナビリティを前面に打ち出しつつ、コンテンツの中にCSVという言葉を散りばめるスタイルに切り替え、認知が広がったという実績があります。
せっかく良い取り組みをしているならば、正しく伝わる形で発信することが大切です。同業他社の発信状況も参考にしながら、自社に最適な用語を検討してみてください。
ポイント④ SDGsウォッシュには注意する
用語の選び方とあわせて、必ず意識していただきたいのが「SDGsウォッシュ」のリスクです。
- SDGsウォッシュとは
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SDGsウォッシュとは、取り組んでいるように見せかけながら、実態が伴っていないことを指します。
小手先だけのサステナビリティ対応は、社内外のステークホルダーから信頼を損なうリスクにつながります。用語選びはあくまで「伝わる手段」であり、実質的な取り組みの裏付けがあってこそ意味をなすものです。
まとめ&お役立ち資料のご案内
本記事では、サステナビリティ、SDGs、ESG、CSR、CSVの5つの用語について、それぞれの意味と関係性を解説しました。
「自社の取り組みをどのように発信すべきか分からない」「SDGsウォッシュを回避しながら、効果的な情報発信を行いたい」とお考えの方は、資料「社外から評価されるサステナビリティページのつくり方」をぜひご活用ください。

各企業の推進状況に応じた情報発信のポイントを、実務に即して分かりやすく解説しています。
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