「カーボンニュートラル、マテリアリティ、人権デューデリジェンス…サステナビリティに関する専門用語が多すぎて会議についていけない…」
こうした悩みを抱えるビジネスパーソンが、近年急増しています。
サステナビリティは世界共通の概念であり、国際的に通用する英語由来の用語がそのまま使われるケースが多くあります。そのため、商談や会議では初めて聞く言葉が当たり前のように飛び交います。
基本的な用語を知らないままだと、議論についていけないだけでなく、ビジネスパーソンとしての信頼にも影響しかねません。今や、サステナビリティの基礎用語の理解は、担当者に限らずビジネスパーソンにとって必須のスキルです。
ほな社長本記事では、ビジネスシーンで押さえておきたい「サステナビリティ重要用語20選」を、5つのテーマに分けて解説します。単なる意味の理解にとどまらず、「なぜ重要なのか」「どのようにつながっているのか」まで整理することで、実務に活かせる知識として身につけていきます。
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前提となる基本用語
まずはすべての土台となる「基本の4用語」から解説します。この4つをしっかり理解することで、その後の用語も格段に理解しやすくなります。
①サステナビリティ
サステナビリティという言葉は、日本語では一般的に「持続可能性」と訳されます。しかし、この言葉はしばしば「環境に配慮すること」といった限定的な意味で受け取られがちです。
例えば、気候変動で災害が頻発すれば物流が止まり、事業が停止します。また新たな感染症が拡大すれば、飲食業や観光業は大きな打撃を受けます。つまり、環境・社会という基盤が崩れれば、企業の経済活動にも直結して影響が及ぶのです。
だからこそ、サステナビリティは「地球のための活動」であるとともに、「10年後、20年後も事業を継続するための生存戦略」として捉える必要があります。
サステナビリティ経営に関してこちらの記事もご覧ください。

②ESG
ESGとは、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)の頭文字を取った言葉です。
サステナビリティと混同されることも多い概念ですが、両者には明確な違いがあります。それは、「誰が、何のためにこの概念を用いるのか」という視点です。
かつて企業評価の中心は、売上や利益といった財務情報でした。しかし現在は、それだけでは不十分とされています。「いくら利益を上げていても環境汚染を助長していれば訴訟リスクがある」「不正を隠蔽していればコンプライアンス違反で信用が失墜する」など、投資家はこうした将来リスクを重視しています。
そのため、ESGの観点でリスク管理ができていない企業には、資金が集まりにくくなっているのが実情です。なお、アメリカでは「反ESG」の動きも一部に見られますが、企業の非財務価値を測る指標として、ESGは今後も重要性を保ち続けるでしょう。
③SDGs
SDGsとは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略で、2030年までに世界が達成すべき17の目標として、2015年に国連で採択されました。
「貧困をなくそう」「気候変動に具体的な対策を」といった目標が並びますが、ビジネスパーソンにとって重要なのは、これを「2030年に向けた世界のニーズ一覧」として捉える視点です。
各国政府や企業がこの方向に沿って動いている以上、SDGsは単なる理想ではなく、今後の市場の前提条件になりつつあります。つまり、ここに示された課題は、そのままビジネス機会でもあるのです。
SDGsとサステナビリティの違いは、こちらの記事をご覧ください。

④CSR
CSRは「Corporate Social Responsibility(企業の社会的責任)」の略です。「利益の一部を寄付すること」と捉えられがちですが、それはあくまで一部にすぎません。
本来のCSRはより本質的で、「企業が社会的存在として果たすべき責任全般」を指します。
ここまで4つの用語を解説しましたが、まとめると以下のようになります。
・環境、社会、経済の持続可能な発展を目指す考え方が「サステナビリティ」
・サステナブルな社会を実現するための2030年に向けた世界共通ゴールが「SDGs」
・企業がちゃんとした活動をしているかを投資家が評価するモノサシが「ESG」
・企業が活動する上で果たすべき責任のベースが「CSR」
それぞれの用語の違いは、こちらの記事をご覧ください。

サステナビリティ経営の関連用語
ここからは、サステナビリティ経営に取り組む企業担当者が必ず押さえておきたい「サステナビリティ経営関連の4用語」を紹介します。
⑤サステナビリティ方針
企業が「どのような姿勢で社会課題の解決に向き合うか」を明文化したもので、いわば経営の憲法です。
重要なのは、これが「良い企業アピール」ではなく「経営戦略の一部」であることです。
この方針に沿った事業活動が企業価値の向上につながる、というストーリーが不可欠です。これが描けていないと、単なる社会貢献にとどまり、取り組みは次第に形骸化してしまいます。
⑥マテリアリティ
日本語で「重要課題」と訳されます。気候変動や人権尊重など課題は無数にありますが、イチ企業ですべてに対応することはできません。
そこで「自社が優先的に取り組む課題」を定めることが求められ、その課題をマテリアリティと呼びます。
この優先順位付けが、サステナビリティ経営の出発点です。
マテリアリティについて、更に詳しく学びたい方はこちらの記事をご覧ください。

⑦非財務目標
売上や利益といった、財務以外の目標のことです。
マテリアリティに基づき、その達成度を測る指標として設定することが求められます。ポイントは「指標・数値・期限」を明確にすること。つまり、いつまでに何をどれだけ実行するかです。設定が曖昧だと、取り組み自体が形式的に見られるリスクがあります。
⑧SSBJ
サステナビリティ基準委員会(Sustainability Standards Board of Japan)の略で、日本版のサステナビリティ情報開示ルールを策定する組織です。
SSBJが公表した新基準(通称:SSBJ基準)により、プライム上場企業にはこれまで以上に厳格な開示が求められます。
SSBJハンドブックにについては、こちらの記事をご覧ください。

環境関連用語
サステナビリティの中で最も話題になりやすい環境分野の用語を解説します。ここは企業の対外的な取り組みでも頻出機会が多いテーマです。
⑨カーボンニュートラル
CO₂など温室効果ガスの「排出量」から、森林などによる「吸収・除去量」を差し引き、合計を実質的にゼロにする(プラスマイナスゼロ)ことです。
似た言葉に「ネット・ゼロ(Net Zero)」があります。Netは「正味・実質」という意味であり、実質ゼロという考え方になるため、カーボンニュートラルとほぼ同じ意味で用いられます。
カーボンニュートラルについて、更に詳しく学びたい方はこちらの記事をご覧ください。

⑩スコープ1・2・3
スコープ1・2・3とは、温室効果ガスが「どこから出たか」を分類した概念です。
・スコープ1:自社で直接排出したもの(工場の燃料使用・社用車のガソリンなど)
・スコープ2:他社から供給された電気や熱の使用によるもの(火力発電所などで排出されたCO₂)
・スコープ3:原材料調達から販売後の使用・廃棄に至るサプライチェーン全体において、自社の事業活動に関連した他社の排出
近年は、スコープ3を含めたサプライチェーン全体での削減が求められています。自社だけクリーンでも、部品を作るサプライヤーがCO₂を大量に排出していれば不十分ということです。
スコープ1・2・3について、更に詳しく学びたい方はこちらの記事をご覧ください。

⑪カーボンフットプリント(CFP)
商品やサービスのライフサイクル全体で発生するCO₂排出量を算定・可視化する仕組みです。原材料調達から製造、輸送、使用、廃棄までの排出量を合計し、「どれだけCO₂を排出したか」を示します。
⑫サーキュラーエコノミー(循環型経済)
これまでの経済は「大量生産・大量消費・大量廃棄」の一方通行でした。これに対してサーキュラーエコノミーは、廃棄物をできるだけ出さず、資源を循環させながら価値を生み出し続ける経済システムのことです。
サーキュラーエコノミーを実現したビジネスモデルについて、更に詳しく学びたい方はこちらの記事をご覧ください。

⑬SBT(Science Based Targets)
「科学的根拠に基づく目標」のことで、企業のCO₂削減目標が国際的枠組みであるパリ協定と整合していることを示すものです。
単なる目標設定ではなく、第三者により妥当性が確認される点が特徴です。
社会関連用語
環境と並んで重要性が高まっているのが「社会」の分野です。特に「人」に関するテーマは、近年ビジネスの現場で急速に存在感を増しています。
⑭人的資本経営
かつて従業員の給料や研修費は「コスト」として捉えられていました。そのため、景気が悪くなると真っ先に削減される対象でした。
しかし現在は、人材を「資本(Capital)=投資対象」と捉える考え方が主流になりつつあります。人への投資がスキルや意欲を高め、結果として企業価値や利益につながるという発想です。
人的資本経営について、更に詳しく学びたい方はこちらの記事をご覧ください。

⑮DE&I
Diversity(多様性)、Equity(公平性)、Inclusion(包括性)の3つの頭文字を取った総称です。
以前は「ダイバーシティ(多様性)」だけが重視されていましたが、ただ多様な人材がいるだけでは不十分という認識が広まりました。多様な人が公平に扱われ(Equity)、組織の一員として受け入れられている(Inclusion)状態まで整えることで初めて、ダイバーシティは本来の力を発揮します。
一方で近年のアメリカでは行き過ぎたDE&Iへの反発も見られ、よりバランスの取れた運用が求められています。
⑯人権デューデリジェンス(人権DD)
企業における「人権リスクの点検プロセス」です。自社やサプライチェーンにおける強制労働・児童労働・ハラスメントなどのリスクを特定し、予防・是正していきます。
企業の人権尊重の範囲は、自社社員だけでなく取引先の従業員・製品を使う消費者・事業地域の住民にまで及びます。リスクを「知らなかった」では済まされない時代です。
⑰ウェルビーイング
身体的にも、精神的にも、社会的にも、すべてが満たされた「よい状態」のことです。
「社員が病気でなければOK」ではなく、「やりがいを持って生き生きと働けているか」まで問われる時代です。従業員のウェルビーイングへの投資は、企業の生産性向上と離職率低下にも直結するという研究結果が蓄積されており、経営課題として取り組む企業が増えています。
SWGsについて、更に詳しく学びたい方はこちらの記事をご覧ください。

ガバナンス関連用語
最後は「ガバナンス」の分野です。一見、自分とは遠い話に思えるかもしれませんが、ここが崩れると企業の信用は一気に失墜します。ESGの「G」として、投資家が特に注目する領域です。
⑱コーポレートガバナンス(企業統治)
経営者の暴走や不正を防ぐための監視・統制の仕組みです。
会社は株主のものですが、実際に経営を担うのは経営陣です。そのため、社外取締役の設置やチェック体制の整備により、経営の透明性と健全性を確保します。
⑲コンプライアンス(法令遵守)
一般に「法令遵守」と訳されますが、現代ではそれだけでは不十分です。法律に加え、企業倫理や社会規範、社内規定まで含めて守ることが求められます。
コンプライアンスについて更に詳しく学びたい方はこちらの記事をご覧ください。

⑳BCP(事業継続計画)
地震・台風・パンデミック・システム障害など、緊急事態が発生した際に「どうやって事業を継続するか」「どれくらい早く復旧させるか」を事前に定めた計画のことです。
BCPがなければ、何かあったときに対応が後手に回り、最悪の場合は事業継続不能に陥ります。事業の持続可能性という観点で言えば、まさに企業の命綱となるのがBCPです。自然災害リスクが高まる中、中小企業においてもBCP策定の重要性は年々高まっています。
BCPについて更に詳しく学びたい方はこちらの記事をご覧ください。
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まとめ&お役立ち資料のご案内
本記事では、ビジネスシーンで役立つサステナビリティ重要用語20選を、5つのテーマに分類して解説しました。
・【基本用語】サステナビリティ/ESG/SDGs/CSR
・【経営用語】サステナビリティ方針/マテリアリティ/非財務目標/SSBJ
・【環境用語】カーボンニュートラル/スコープ1・2・3/カーボンフットプリント/サーキュラーエコノミー/SBT
・【社会用語】人的資本経営/DE&I/人権デューデリジェンス/ウェルビーイング
・【ガバナンス用語】コーポレートガバナンス/コンプライアンス/BCP
これらは単なる専門用語の羅列ではありません。これからの時代を生き抜くための「共通言語」であり、ビジネスにおける「教養」です。
全部を完璧に暗記する必要はありませんが、ビジネスの現場でこれらの言葉が出てきたときに「あの概念だな」と思い出せるだけで、周りの人より一歩リードできます。
自社のサステナビリティ経営の第一歩として、まずはこの20の言葉を整理してみてください。
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