取引先から御社のサステナビリティの取り組みを教えてください、と言われて答えに詰まってしまった
採用活動でサステナビリティへの姿勢を問われたが、自社の取り組みをうまく説明できる資料がない
こうした悩みを抱える企業の担当者が、近年急増しています。
実は今、企業規模に関わらず、自社の取り組みをステークホルダーに伝えるために「サステナビリティレポート」を発刊する企業が急増しています。一方で、「そもそも何を書けばいいのか」「どうやって作るのか」「統合報告書とは何が違うのか」と疑問を抱えたまま、一歩が踏み出せていないケースも非常に多いのが実情です。
ほな社長本記事では、サステナビリティコンサルタントとして数多くの企業を支援してきた経験をもとに、サステナビリティレポートの基本から、作成メリット・デメリット、具体的な作り方、そして「読まれるレポート」にするためのノウハウを余すことなく解説します。
本記事の内容はYouTube動画でもご覧いただけます。
サステナビリティレポート(サスレポ)とは?
サステナビリティレポートとは、一言で表すと「持続可能な社会の実現に向けた、企業の取り組みを開示する報告書」のことです。

引用:https://www.nam.co.jp/sustainability/reports/pdf/2505.pdf
会社案内や決算資料はどの企業でも作成しますが、サステナビリティレポートはそれらの「環境・社会版」だとイメージしていただければわかりやすいでしょう。通称「サスレポ」とも呼ばれます。
ここで重要なのが、現時点では全ての企業にサスレポの作成義務があるわけではない、ということです。「義務じゃないなら作らなくていいや」と思いましたか? そこが落とし穴です。
義務ではないものの、ステークホルダーに対して現在行っている活動を報告し、将来この企業が目指す方向を明確に提示できるというメリットがあまりにも大きいため、作成企業が増加しているのです。
株式会社波濤はサステナビリティレポートの制作支援をしております。詳しくはこちらからご覧ください。
サステナビリティレポートの歴史
なぜ「サステナビリティレポート」という言葉が生まれたのか。少し歴史を振り返ってみましょう。
しかし時代が進むにつれて、「お金の話だけでは企業の良し悪しはわからない」という風潮が生まれてきました。そこで、環境への配慮、従業員の働きやすさ、社会貢献といった「財務以外の情報」も開示するよう求める流れが生まれ、「CSRレポート」や「環境報告書」が誕生しました。
それがさらに時代の変化とともに、社会全体の持続可能性が問われるようになったことで、現在は「サステナビリティレポート」という言葉が主流となっています。企業によっては「SDGsレポート」「ESGレポート」という名称を使うケースもありますが、本質的には同じものです。

サステナビリティレポートと統合報告書の違い
サステナビリティレポートと並んで混同されやすいのが「統合報告書」です。この2つには、明確な違いがあります。
統合報告書とは、自社の「財務情報(売上・利益など)」と「非財務情報(ESGデータなど)」を統合して、株主・投資家・ステークホルダーに対して情報開示するレポートのことです。日本では、東京証券取引所が「コーポレートガバナンス・コード」内で作成を促したことで、発行企業数が右肩上がりに増加しています。

ここで多くの方が誤解しているのが、「アニュアルレポートとサステナビリティレポートを単に合体させたものが統合報告書だ」という認識です。これは誤りです。
本来の統合報告書が求めるのは、「非財務の取り組みが、どのように財務価値につながるのか」というストーリーです。例えば、「従業員の研修に投資した(非財務)→スキルが向上し生産性が上がった→結果的に利益が増えた(財務)」といった因果関係を説明するものです。財務と非財務を統合し、中長期的な価値創造のストーリーを伝えることが肝になります。
なぜ2つのレポートを発刊する企業があるのか
「統合報告書があれば、サステナビリティレポートは不要では?」と思う方もいるかもしれません。しかし上場企業の中には、両方を発刊しているケースも多くあります。
その理由は、「読み手の対象」が異なるからです。統合報告書は主に株主・投資家向けに企業価値向上の戦略を説明するものです。
読み手に合わせてレポートを使い分けることが、情報開示の戦略として重要なのです。
サステナビリティレポートを作るメリット・デメリット
コストをかけて作成する以上、リターンも気になるところです。メリットとデメリットを包み隠さずお伝えします。
メリット①ステークホルダーからの信頼を獲得できる
取引先や投資家はもちろんですが、近年特に効果が顕著なのが「採用」の場面です。今の学生や若いビジネスパーソンは、給与・福利厚生と同等以上に「その企業が社会的に良いことをしているか」を重視する傾向があります。
実際に複数のクライアントから、「面接で御社のサステナビリティレポートを拝読しました」と学生に言われたという声を聞いています。外部のステークホルダーは、思った以上にしっかりレポートを見ています。
メリット②自社のサステナビリティ活動を振り返れる
日々の業務に追われていると、自分たちがどれほど社会貢献につながる活動をしているか、意外と気づかないものです。レポートの作成プロセスを通じて棚卸しをすることで、「こんなに環境に配慮していたのか」「社員教育にこれほど力を入れていたのか」という再発見が生まれます。これは社員のモチベーション向上にも直結します。
デメリット①作成コストが発生する
外部に依頼すれば費用がかかりますし、社内制作でも人件費や工数が発生します。
デメリット②社内の巻き込みが必要になる
これが最も大変な壁かもしれません。データ収集には人事・総務・製造・営業など、複数の部署の協力が必要です。「ただでさえ忙しいのに」と現場から反発が生じることもあります。
担当者としては、早い段階で「いつまでに何をお願いすることになるか」を各部署に根回ししておくことが、スムーズな制作の鍵となります。
株式会社波濤では、サステナビリティレポート作成を代行しております。「おしゃれで、かつ運用しやすいレポート」をご希望の場合はお問い合わせください。
サステナビリティレポートの作り方 4ステップ
では、実際にどのように作成するのか。基本的なプロセスを4つのステップで解説します。
ステップ①目的・目標の設定
最初にして、最重要のステップです。ここがブレると、誰にも読まれないレポートになってしまいます。設定すべき項目は次の4点です。
・何を伝えたいのか(メインテーマは何か)
・どのような人が読み手になるのか
・どのようなデータが求められているのか
・読んだ人にどのような印象を持ってほしいのか
「環境に優しい会社だと思われたいのか」「社員を大切にする会社だと思われたいのか」。ここを明確にすることで、レポート全体のコンセプトが定まります。まずは社内でじっくり議論してください。
ステップ②スケジュールの決定
作ったことのない方は驚かれるかもしれませんが、サステナビリティレポートの制作には一般的に6ヶ月程度の期間を要します。
内容によっては収集すべきデータの量が膨大になったり、関係者へのヒアリングが必要になったりと、想定外のタスクが発生することがよくあります。「締切直前になってデータが揃っていない」という事態を避けるためにも、余裕を持ったスケジュールを組みましょう。
ステップ③必要情報の収集
レポートに掲載する内容の素材となる情報を集めます。この際、「GRIスタンダード」などの国際的な情報開示ガイドラインを参照するのが一般的です。ガイドラインに沿って情報を整理することで、網羅性を担保し、記載漏れを防ぐことができます。
収集する情報はESGデータなどの数字だけでなく、文章・写真・画像なども含まれます。デザインのトーン&マナー(ピクトグラムにするか、イラストにするかなど)もこの段階で決定しておくと、後工程がスムーズになります。
ステップ④レポートの発行と社内外への活用
制作が完了したら、いよいよ発行して社内外に発表します。発行前に第三者による保証を受けるかどうかは企業の判断に委ねられていますが、初回はなくても問題ありません。
スマートフォンで閲覧できるよう配慮することも、現代では重要です。
PDF公開の際にコピー禁止のセキュリティ設定をかけてしまうと、AIがデータを読み取れなくなり、読み手にとって使いにくいレポートになってしまいます。この点は注意が必要です。
【専門家が語る】読まれるレポートを作る3つのポイント
4つのステップを踏んで作成しても、ただデータを並べただけのレポートでは読み手の心には響きません。数多くのサスレポを見てきたコンサルタントとして、「本当に良いレポート」に共通する3つのポイントをお伝えします。
ポイント①ガイドラインを意識しすぎると差別化できなくなる
上場企業の場合は「どのガイドラインを遵守したか」を開示する必要があるため、一定の制約は避けられません。しかし非上場企業であれば、比較的「自由演技」で情報を開示できます。
ガイドラインはあくまで「チェックリスト」として活用しながら、自社が本当に届けたい情報を詰め込む。「型を守りつつ、型を破る」発想が自社らしいレポートを生み出します。
ポイント②いいことばかりを書かない
情報開示というと、自社の良い面ばかりをアピールしたくなるものです。しかし、本当に評価されるレポートには「できなかったこと・失敗したこと」も率直に記載されています。
さらに、「その課題、うちの技術で解決できますよ」と声をかけてくれる企業が現れ、予期せぬ協業につながったケースも実際にあります。弱みを見せることは、実は強みにもなるのです。
ポイント③マテリアリティの掲載位置を意識する
やや専門的な話になりますが、自社の重要課題である「マテリアリティ」をレポートのどこに掲載するかも重要です。
本来はレポートの序盤に明示されなければ、その後のストーリーが理解しにくくなります。
昔話の桃太郎を例に挙げると、序盤で「鬼が村に悪事を働いている」という課題が提示されるからこそ、桃太郎が仲間を集め、鬼ヶ島へ向かうストーリーがすっと入ってきます。マテリアリティも同様で、後半に掲載されていると「この企業にとってマテリアリティの重要性は低い」という印象を与えてしまいます。レポートの冒頭で堂々と開示することを意識してください。
サステナビリティレポートの社内浸透を高める2つの施策
「苦労して作ったのに、社員が誰も読んでくれない…」。
これはレポートを発刊した企業から頻繁に聞く悩みです。実際にあるファーストフードチェーンでは、制作したサスレポの社員既読率がわずか20%だったという話もあります。
そこで社内浸透に向けた「サスレポの有効な活用方法」を2つご紹介します。
施策①経営層をレポートに顔出しで登場させる
サステナビリティ推進に前向きでない経営層への対処として非常に効果的な方法です。「マテリアリティの担当役員」という形で、各マテリアリティへの想いをインタビューして言語化させ、顔写真つきでレポートに掲載します。
施策②圧倒的にクオリティの高いレポートを作る
クオリティの高いレポートを作ることで、社外のステークホルダーから「御社のレポート、素晴らしいですね」という声が届くようになります。
「外から褒められる」ことで、中の人が動き出す。これが最も自然な社内浸透のきっかけになるのです。
おすすめレポート
参考として、筆者が個人的に評価しているレポートの一つが「ローソンのSDGsハンドブック」です。
消費者でも読みやすいデザイン、適切なページ数、充実した取り組み事例、そして多くの従業員が登場することで全社での推進姿勢が伝わってきます。自社のレポート作成の参考として、ぜひ一度ご覧ください。

引用:https://www.lawson.co.jp/company/activity/library/pdf/houkoku2025_s_all_read.pdf
まとめ
ほな社長本記事では、サステナビリティレポートの基礎知識から統合報告書との違い、作成のメリット・デメリット、具体的な4ステップ、そして読まれるレポートにするためのポイントまでを解説しました。
サステナビリティレポートは、単なる報告書ではありません。企業の過去の努力を称え、現在の立ち位置を確認し、未来の目的地を示す「羅針盤」です。作成プロセスを通じて自社の強みと課題が明らかになり、社員の意識が変わり、結果として企業が強くなる。そんな可能性を秘めたツールです。
「自社だけで判断するのが不安」「自社の強みをどう打ち出せばいいか分からない」という課題をお持ちの方は、ぜひ弊社へご相談ください。
株式会社波濤では、各企業の実情に寄り添い、「おしゃれで、かつ運用しやすいレポート」の制作支援を行っています。
弊社の特徴は、PowerPointを活用したレポート制作です。納品後にお客様自身で修正が可能なため、翌年の更新時に外部業者へ追加費用をかける必要がありません。サステナビリティレポートは毎年発行するものだからこそ、持続可能な運用体制を整えることが重要です。
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