近年、夏になると「記録的な猛暑・ゲリラ豪雨・水不足」といったニュースを目にする機会が増えました。
その背景にある大きな要因の一つが、「温室効果ガス(GHG)」です。ですが、「温室効果ガスを聞いたことはあるけれど、自分の言葉で説明できる自信はない」という方もいるのではないでしょうか。
本記事では、温室効果ガスの基本的な仕組みから、CO₂以外の代表的な温室効果ガス、世界の動向、そして企業が取り組むべき3つのステップまで、できるだけわかりやすく解説します。
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温室効果ガスとは

温室効果ガスとは、地球を温める性質を持つ気体の総称です。
英語では Greenhouse Gas と呼ばれ、略して「GHG」と表記されます。近年では、企業でも「GHG排出量」という言葉を目にする機会が増えてきました。
では、温室効果ガスはどのような仕組みで地球を温めているのでしょうか。
イメージしやすいのは、布団や毛布です。夜、布団をかけるのは体の熱を逃がさず、暖かく眠るためです。実は、地球もこれとよく似た仕組みになっています。
太陽から届いたエネルギーは地球の表面を温め、その一部は本来、宇宙へ逃げていきます。しかし、大気中に存在する温室効果ガスが熱を適度に閉じ込めることで、地球は私たちが暮らしやすい気温に保たれています。
つまり、温室効果ガスは決して悪者ではありません。適度な温室効果は、生命が暮らせる環境を維持するために欠かせないものです。
実際、温室効果ガスがまったく存在しなければ、地球の平均気温は約-18℃になるといわれています。現在のような温暖な環境が保たれているのは、温室効果ガスが地球の熱を適度にとどめているからなのです。
温室効果ガスが増えると何が起きるのか
では今、何が問題になっているのでしょうか。
産業革命以降、人類が石炭や石油などの化石燃料を大量に使うようになり、温室効果ガスを排出し続けてきたことです。
温室効果ガスは本来、地球の気温を保つために欠かせない存在です。しかし、増えすぎることで、まるで地球に冬用の厚い布団を何枚も重ねているような状態となり、熱が宇宙へ逃げにくくなってしまいます。
その結果、地球温暖化が進み、私たちの暮らしや経済にさまざまな影響が現れています。
代表的な影響の一つが、北極や南極の氷が溶けることによる海面上昇です。海沿いの地域や島しょ部では、浸水や水没のリスクが高まっています。
また、猛暑や豪雨などの異常気象が増えることで、農作物の生育にも影響が及びます。近年、スーパーで野菜の価格が大きく変動する背景には、こうした気象条件が関係しているケースも少なくありません。
さらに、海の環境にも変化が起きています。海水温の上昇によって海藻などの「海の森」が育ちにくくなり、それをすみかや産卵場所として利用する魚介類にも影響が広がっています。
このように、温室効果ガスの問題は単なる環境問題ではありません。私たちの食卓や暮らし、企業活動、さらには将来の経済にも深く関わる、極めて身近な課題なのです。
温室効果ガスの種類

温室効果ガスと聞くと、「CO₂(二酸化炭素)のこと」と考える方も多いかもしれません。
たしかに、CO₂は最も代表的な温室効果ガスです。火力発電による電力の供給、自動車の走行、工場での燃料の使用など、さまざまな場面で排出されています。私たちが普段使う電気も、発電方法によっては間接的にCO₂排出につながります。
しかし、温室効果ガスはCO₂だけではありません。代表的なものには、メタン、一酸化二窒素、フロン類などがあります。
メタンは、牛のげっぷや水田などから発生します。牛は胃の中で草を発酵・分解する過程でメタンを排出します。また、水田では酸素の少ない環境で有機物が分解される際にメタンが発生します。メタンはCO₂よりも温室効果が高いため、世界では畜産や農業のあり方も気候変動対策の重要なテーマとなっています。
一酸化二窒素は、主に農地で使用される窒素肥料や工業の製造工程、燃料の燃焼などから排出されます。このガスもCO₂より高い温室効果を持っています。
フロン類は、エアコンや冷蔵庫などの冷媒として利用されるガスです。大気中へ漏えいすると、非常に大きな温室効果をもたらすものがあります。そのため、エアコンや冷蔵庫を廃棄する際には、冷媒を適切に回収することが法律で義務付けられています。
このように、温室効果ガスにはさまざまな種類があり、それぞれ地球を温める力が異なります。
そのため、企業が温室効果ガスの排出量を算定・開示する際には、すべてのガスを「CO₂と同じ温暖化影響に換算した量」で表します。これを「CO₂換算(CO₂e:Carbon Dioxide Equivalent)」と呼びます。
温室効果ガスを巡る世界の潮流
温室効果ガスによる地球温暖化について、「本当に人間の活動が原因なのだろうか」と疑問に思う方もいるかもしれません。
しかし、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)は、第6次評価報告書において、人間活動が地球温暖化を引き起こしてきたことは「疑う余地がない」と結論づけています。
現在、世界各国は膨大な科学的知見に基づき、温室効果ガスの削減を進めています。
では、この問題に対して世界はどのような取り組みを進めてきたのでしょうか。
大きな転機となったのが、1997年に日本の京都で採択された「京都議定書」です。これは、先進国に対して温室効果ガスの削減目標を定めた初めての国際的な枠組みでした。
一方で、京都議定書には課題もありました。当時、急速に経済成長していた新興国には削減義務が課されておらず、世界全体の排出量を十分に抑えることは難しかったのです。
温室効果ガスは国境を越えて地球全体に影響を及ぼします。そのため、先進国だけでなく、すべての国が取り組む仕組みが必要とされました。

そこで2015年に採択されたのが「パリ協定」です。パリ協定では、先進国・途上国を問わず、ほぼすべての国が温暖化対策に取り組むこととなりました。
そして、パリ協定の象徴ともいえる目標が「1.5℃目標」です。これは、世界の平均気温の上昇を産業革命前と比べて1.5℃に抑える努力をするという国際目標です。
「たった1.5℃」と思われるかもしれません。
しかし、人間の平熱が36.5℃だとすると、1.5℃上がれば38℃になります。高熱が続けば体に大きな負担がかかるように、地球も平均気温がわずかに上昇するだけで、海面上昇や異常気象、生態系への影響など、さまざまな問題が連鎖的に発生します。
だからこそ、世界各国は1.5℃目標の達成に向けて、温室効果ガスの排出削減に取り組んでいるのです。
企業にも温室効果ガス対策が求められる理由
温室効果ガスの削減というと、「影響力のある大企業だけの話」と感じる方もいるかもしれません。
しかし実際には、温室効果ガスの削減は、業種や企業規模を問わず、あらゆる企業に関わるテーマです。
鉄鋼や化学のような大規模な工場だけでなく、食品、紙、電子部品、電力、廃棄物処理など、私たちの暮らしを支える多くの産業が温室効果ガスの排出と関わっています。
企業が温室効果ガス対策に取り組む理由は、「環境に配慮している企業だとアピールするため」だけではありません。そこには、事業を継続・成長させるためのリスクとチャンスがあります。
例えば、異常気象によってサプライチェーンが寸断されれば、原材料や部品の調達が滞り、事業活動に影響が及ぶ可能性があります。また、環境対応に消極的な企業は、取引先や顧客から選ばれにくくなるケースも増えています。実際に、環境に関するアンケートや評価結果が取引先の選定に活用される企業も少なくありません。
一方で、排出量を把握し、削減に取り組む企業には新たなビジネスチャンスも生まれます。金融機関や投資家は環境対応を企業評価の重要な要素としており、取引先からの信頼向上や資金調達の面でもプラスに働くことがあります。
さらに、再生可能エネルギーの活用や省エネルギーへの投資は、環境負荷の低減だけでなく、エネルギー価格の変動リスクを抑え、経営の安定にもつながります。
このように、温室効果ガス対策は一時的なブームではありません。コスト管理や取引先対応、資金調達、企業価値の向上にも関わる、経営上の重要なテーマとなっているのです。
企業が取り組むべき3つのステップ

では、企業は具体的に何から始めればよいのでしょうか。
温室効果ガス対策は、大きく3つのステップで考えることができます。
ステップ1: 現状の排出量を測る
最初に取り組むべきことは、自社からどれくらい温室効果ガスが排出されているのかを把握することです。
これは、ダイエットを始める前に体重計に乗るのと同じです。目標を立てるためには、まず現在地を知る必要があります。
企業では、電気・ガス・燃料の使用量や、拠点、車両、設備などの情報を集めて排出量を算定します。その際には、「Scope 1」「Scope 2」「Scope 3」という考え方が用いられます。
最初から完璧な算定を目指す必要はありません。継続的にデータを収集・管理できる仕組みを整えることが大切です。
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ステップ2: 自社の努力で減らす
現状を把握したら、次は自社で削減できる部分から改善を進めます。
例えば、照明や空調の省エネ運用、省エネ性能の高い設備への更新、工場や店舗への太陽光発電の導入、再生可能エネルギー由来の電力への切り替えなどが代表的な取り組みです。
重要なのは、最初から大規模な投資を行うことではありません。現場で無理なく実践できる省エネや運用改善を積み重ねることが、継続的な削減につながります。
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ステップ3: 削減困難な分を埋め合わせる
自社で最大限努力しても、現在の技術や事業の特性上、どうしても削減できない排出が残る場合があります。
そのような場合には、カーボンクレジットや非化石証書などを活用し、残った排出量を補完するという方法があります。
ただし、重要なのは順番です。まずは「排出量を把握する」、次に「自社でできる限り削減する」。そのうえで、どうしても削減できない分について補完を検討することが基本的な考え方です。
また近年は、自社だけでなく、取引先や物流会社などを含めたサプライチェーン全体で排出量を削減していくことも求められています。温室効果ガス対策は、一社だけで完結するものではなく、関係する企業と協力しながら進めていく時代になっているのです。
まとめ
株式会社波濤では、温室効果ガス排出量の算定支援をはじめ、削減ロードマップの策定、社内への浸透施策、推進体制の構築まで、企業の脱炭素経営を総合的にサポートしています。
「何から始めればよいかわからない」「社内でどのように進めればよいかわからない」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。
また、現在サステナビリティ経営に関する「お役立ち資料」の配布に加え、「60分の無料個別相談会」も実施しております。現状の課題整理や今後の方針策定のヒントとして、ぜひご活用ください。

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