今回のコラムでは、SDGsとサステナビリティの違いについて、様々な視点で紹介します。
今やお馴染みとなったこの2つの言葉はかなり似ているため、ややこしいと感じる方もいるのではないでしょうか。
しかし、この言葉ができた背景や意味することはかなり異なります。
そこで、こちらの記事では意味の違いに加えて、事例やビジネス活用についも紹介していきます。
以下の動画でも詳しく見ることができます。
SDGsとサステナビリティはどう違う?両者の関係性を整理
「サステナビリティ」と「SDGs」は、持続可能な社会を目指すという点では共通していますが、その意味や性質には明確な違いがあります。
- サステナビリティとは?
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「sustain:持続する・保つ」と「able:~できる」を組み合わせた言葉で、日本語では「持続可能性」と訳されています。
“環境・社会・経済のバランスを取りながら、未来にわたって発展し続けられる社会を目指す”という、大きな考え方や概念と捉えてください。 - SDGsとは?
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Sustainable Development Goals の略で、日本語では「持続可能な開発目標」と言われています。
持続可能な社会の実現に向けた2030年までの世界共通目標です。17個の大きな目標と169個のターゲット(課題の一覧表)で構成されています。
このように、サステナビリティは「考え方・概念」、SDGsは「目標・ターゲット」と捉えていただくと分かりやすいです。

サステナビリティとは?ウェディングケーキ構造で理解する本質
サステナビリティを構成する要素にはには、「環境・社会・経済」という3つの柱があります。
これらは一般的に「横並び」の関係性として捉えられがちですが、その本質を理解する上では、縦に積み重なった「階層構造」として捉えるのが適切です。
その象徴的なモデルが、積み上げ式の「ウェディングケーキ」のような構造です。

最上層「経済」:企業活動や利益の創出といった経済活動
中間層「社会」:人々の暮らし、コミュニティ、教育、健康といった社会システム
最下層「環境」:自然環境や資源など、人類が生存するために不可欠な基盤
もし最下層である「環境」が破壊され、水や空気が汚染され、食料供給が断絶してしまったらどうなるでしょうか。当然、その上に乗る「社会」は混乱に陥り、維持できなくなります。さらに、その「社会」が不安定になり、紛争や生活基盤の崩壊が起きれば、企業が正常な「経済活動」を営むことは不可能です。
つまり、私たちが日常的に行っている経済活動は、健全な「社会」と豊かな「環境」という強固な土台があって初めて成立するものなのです。短期的な利益のみを追い求め、土台である環境や社会を軽視することは、自らの活動基盤を切り崩すことに他なりません。逆に、土台を健全に保つことこそが、結果として経済を中長期的な成長へと導くのです。
ビジネスの持続可能性を考える際、この「ウェディングケーキ」のイメージは非常に重要な指針となるでしょう。
SDGsとは?17目標・169ターゲット・232指標の三層構造
SDGs(Sustainable Development Goals)は、2015年に国連が採択した2030年までの世界共通目標です。

その構造は、以下の3段階で整理されます。
・17の目標:貧困、教育、ジェンダー平等、気候変動など
・169のターゲット:各目標の具体的な行動指針
・232のインジケーター:達成度を測るための指標

さらに重要なのは「誰一人取り残さない(Leave No One Behind)」という理念をSDGsでは掲げています。
経済的な困窮にある人、障がいを持つ人、紛争地域に身を置く人。どのような境遇にあっても、すべての人がそれぞれの「豊かさ」を享受できる社会を目指す。この言葉には、そうした力強い意志が込められています。
SDGsの期限と達成状況|日本の順位と課題は?
SDGsには、各国の達成度を評価した世界ランキングが存在します。かつて日本は、2017年には11位と世界トップクラスの評価を受けていました。
しかしその後、順位は緩やかに下降。2023年には21位と、初めて20位圏外へ落ち込む結果となりました。直近の動向を見ると、2024年は18位、2025年は19位と、わずかに持ち直しの兆しを見せてはいるものの、依然として手放しで喜べる状況ではありません。
・2017年:11位
・2023年:21位(初の20位圏外)
・2025年:19位(やや回復)
日本で特に課題とされているのが「目標2、5、12、13、14、15」の6つです。

特に「ジェンダー平等」や「環境対策」に関しては、国際社会から厳しい視線が注がれており、さらなる変革が求められています。
サステナビリティは流行ではない|歴史から読み解く本質
昨今の急速な普及を目の当たりにし、「サステナビリティは、ここ数年のブームに過ぎないのではないか」と懐疑的に捉える方も少なくありません。しかし、その概念の歴史を紐解くと、決して一過性の流行ではないことが分かります。
「サステナビリティ」という言葉の起源は、今から30年以上も前の1987年にまで遡ります。国連の「ブルントラント委員会」が公表した報告書『Our Common Future(我ら共有の未来)』において、「持続可能な開発(Sustainable Development)」という考え方が初めて提唱されました。
その後、オイルショックなどの影響により、世界が経済成長を優先せざるを得ない時期があり、一時的にその機運は停滞しました。しかし、1992年にブラジルで開催された「国連環境開発会議(地球サミット)」を契機に、その重要性は再び世界へと広がっていきました。そして長年にわたる議論の積み重ねを経て、2015年に「SDGs」が誕生したのです。
・1987年:国連ブルントラント委員会の報告書で初めて「持続可能な開発」概念が登場
・1992年:リオデジャネイロでの地球サミットで重要性が再認識
・2015年:SDGsが採択され、サステナビリティの世界的潮流へ
つまり、現在の関心の高まりは“急激に広がっただけ”で、概念自体はずっと議論され続けてきたのです。
企業はどちらの言葉を使うべき?発信の戦略的使い分け
企業が情報発信する際、「SDGs」と「サステナビリティ」、どちらを使うべきか悩むケースが多くあります。
結論としては、迷ったら「サステナビリティ」を使うことをお勧めします。
理由①「期限」の有無
SDGsは2030年を期限とした国際目標です。残り数年となった今、企業の取り組みが2030年で完結することはありません。2030年以降も継続する中長期的なビジョンを示すためには、期限に縛られないサステナビリティという概念を用いる方が、メッセージの整合性を保ちやすくなります。
理由②「自社独自の定義」が可能であること
SDGsは国連が定めた世界共通の目標であるため、個別の事業内容によっては「壮大すぎて自分ごと化しにくい」という課題が生じがちです。一方で、サステナビリティは広範な概念であるため、企業ごとに独自の定義づけが可能です。
- 地域密着型の工務店であれば、「地産材の活用による地域林業の保護と住まいの長寿命化」
- グローバル企業であれば、「サプライチェーン全体での人権保護と脱炭素の実現」
このように、自社の事業領域に引き寄せた独自のストーリーを描ける点が、サステナビリティという言葉の大きな強みです。
もし、使い分ける場合は、情報を届けたい相手によって使い分けえると効果的です。
| 相手 | おすすめ用語 | 理由 |
|---|---|---|
| 一般消費者 | SDGs | 認知度が高く、共感されやすい |
| 投資家・取引先 | サステナビリティ | 長期性・独自定義しやすい |
| 社内浸透・企業理念 | サステナビリティ | 自社文脈でストーリー化しやすい |
まとめ|SDGsはアクション、サステナビリティは理念
最後に、SDGsとサステナビリティの違いをシンプルにまとめます。
| 項目 | サステナビリティ | SDGs |
|---|---|---|
| 意味 | 持続可能性という概念 | その実現に向けた目標群 |
| 性質 | 理念・方向性 | 目標・アクション |
| 構造 | 抽象的・柔軟 | 具体的・指標化された目標 |
| 期限 | なし(恒久的) | 2030年まで |
| 活用例 | 経営方針・企業理念 | 商品・広告メッセージ |
両者は対立するものではなく、むしろ補完関係にあります。「どちらを使うか」ではなく、「誰に何を伝えるか」に応じて使い分けるのが、これからの情報発信の鍵です。
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